「さて、じゃあもういっか」
あの蜘蛛人間が見せた魔法はただ姿を隠すだけの魔法だった。それに落胆した私はさっさとあの蜘蛛人間を取り押さえることにした。私はブースターをふかすのを止めて、自然落下する。そしてズガァァァァァン! と蜘蛛人間の前に降り立った。
「なんじゃ!?」
もうもうと巻き上がった砂の中から私は手を伸ばす。そして蜘蛛人間を両手で包む。
「ん?」
なんかバチバチする。いやピリピリかな? G-01にとってはその程度だ。
『どうやら障壁を張ってるみたいですね。とても脆弱ですが』
「このピリピリはそのせいなのね。まあけど、G-01だからこの程度なんでしょ? 人が触れたらそれこそ吹き飛ぶとかするんじゃない?」
『お粗末な術式ですが、確かにこの世界の者達にとっては脅威かもしれませんね』
お粗末なんだ。私にも見えてるが、よく分からない文字が踊り狂ってるようにしか見えない。意味を理解するには私には知識が足りないらしい。多分膨大なG-01の知識の中にはこういうのもあるのかもしれないけど……いやいやG-01の事を知るだけでも手一杯だからね。
でも魔法を組み込めるようになったら更に強いような気はする。私自身が魔法を使えれば、G-01の攻撃に遭わせて私が魔法使えたり……
(てか、普通に私が魔法って奴を使ってみたいし)
使えるのなら使ってみたいってのが本音だ。まあけど今はそんな場合ではないか。とりあえずがっちりとG-01の手で蜘蛛人間を包み込む。ちょっと苦しいくらいでもいいだろう。
「なっ!? 儂の防御をくだいてくるか!!」
なんかそんなことを言いつつ、もう一つの声が聞こえる。どういうことだ? こいつ見た感じ口は一つだけど……どこかに別の口でもあるのだろうか? そんなことを思ってると、空中に火の玉が出てきた。そしてそれが躊躇無く顔面めがけて飛んできた。ふむ……私はそれを甘んじて受ける。
「なっ……」
その口があんぐりと開いてる蜘蛛人間。ふふ、まあそうなるよね。なにせG-01には傷一つ無いからね。自分が弱者だって自覚して抵抗を止めてくれればいんだけど……どうだろうか?
「なるほどの……これだけの存在がいれば、確かにアズバインバカラも馬鹿なことを考えるはずじゃ」
そういう蜘蛛人間はなんか体から変な液を出してG-01の手から逃れた。
「うわっばっちい……」
ヌメヌメする。変態かこいつ?
「儂、一人ではちときついの」
そういって再びいくつもの声が重なるように聞こえる。すると地面に三つの魔方陣が輝く。なにかどんどんその陣から力を感じる。けど……
「ふん!」
私はとりあえず、何かが起きる前にその陣を一歩踏み出して壊してやった。これには流石に蜘蛛人間も呆然としてる。