何か影響を残す……それを成し得ることがどういうことか……なにせ鬼はとても強大な存在だ。それに対し、この世界の人間なんてのは本当に矮小で、弱い。それこそ私や鬼基準から見たらそこらの虫みたいな存在だ。
例えるならそれこそ人間が太陽に挑むような? そんなものである。なので変異してしまった教会のやつがその体に噛み付いたとしてもチクッともしなかったと思われる。でも……その影響は出てしまってる
「なんで?」
そんな思いが私にはある。だってその力の差は圧倒的だ。もしもだよ……もしも同じような魔法を使えて同時に使ってそれを打ち合ったとしよう。その結果は日を見るよりも明らかで、鬼の力が完璧に打ち負かして相手は死ぬ。
一瞬の押し合いなんてものも起きえない。つまりはそれだけの差があるんだ。だからこそ、そんな存在の影響が鬼に起きるって「どういうこと?」って私は思ってる。それが出来るとすれば、考えられるのは一つだけ。教会は何か鬼に効く術を持ってるということだ。
確かにあいつらは宵に動く手段を持ってた。それならば、鬼の存在を知っててもおかしくはない。それにどのくらいの期間から宵にも動けるようになったのかわかんないけど、長い時間宵というものを研究してるとしたら、自分達の立場や権威のためだけに使うんじゃなく、守られてる結界の外にも目を向けたとしてもおかしくはない。
基本、教会の奴らは宵という時間を自分達の邪魔者を排除することに使ってきたと思うけど、それだけじゃないこともやってきたと考えれば、何か鬼への対抗手段があったとしてもおかしくはない。
「けどG-01だってそんな簡単じゃなかったことを、ただの人がやれるとも思えないけど……」
鬼は何やら苦しんでる。というか……さっきまでは叫んだりしたとしても、それは言葉ではなかった。ただ吠えてる……って感じだった。鬼は強いけど、知能はそんなにないからね。
それは鬼狩りをしてた私がよく知ってる。奴らはある程度の連携とかは取るが、そんなに賢くはない。まあでも、あの鬼がどうかはちょっとわかんなかったけどね。見てる限りはただ肌の色が金になってるだけで、そう変わりなかったような気もするけどね。
でも教会のやつが噛みつき、そして崩れてから何やら片言を叫んでる。
「ヴバァぁぁぁぁぁぁぁぁれろおおおおおおお!! ばられれろおおおとおおおおおお!!」
とかだ。実際、なんて言ってるのかはよくわかんない。けど、何かを奴的には言ってるような……そんな気がする。それに変化は私だけじゃなく勇者も感じ取ってる。
「一体何が起こった? いや、これは……」
明らかに攻撃の激しさが増してる。けど何やら癇癪を起こした子供じみた攻撃なんだけどね。その場で地団駄を踏んで、そして腕を地面に叩きつけまくってる。でもそれだけでめっちゃ強いのが鬼である。
そもそもめっちゃ地面が…… いや、それだけで世界が揺れてる。これは様々なこの世界の街に影響を及ぼしてるよ。なにせいきなり地面が揺れ出したのだ。全ての人たちが恐怖に慄いてる。まあ例外は空に浮いてる中央くらいだ。
でもこのせいでアズバインバカラとかからの援軍とかも立ち往生しちゃうね。何に癇癪を起こしてるのかわかんないが、これは早く止めた方がいい。
お願い勇者! って感じだ。