「これで……よし!」
私は鬼のエネルギーを変換して取り込むプログラムを書き込んでいった。まあ実際、プログラムなんて私は書けない。だからこれまでの工程をただG-01が覚えてくれただけではある。
私が「そうして」と思えば、勝手にそうしてくれるのである。便利。でもこれで私の頭の処理能力を駆使しなくても、G-01だけでできるようになった。それに……だ。これはきっとこれから沢山の世界を回る度に役に立つだろう。どの世界にもこういう鬼のような……いや鬼ほどでじゃなくても、強力な存在って奴はいるだろう。それにそういう奴から力を奪うことができれば、G-01をどの世界でも効率的に強化できる。G-01を強化できるってことは、私自身を強化してるってことだ。
それはとても大切なことだろう。
「なんか満たされていく様な……気持ちいい」
鬼のエネルギーを得てるからだろうか? いや、でも今までも鬼のエネルギーは得てた。角を奪ってその力を取り込んでたわけだしね。でもその度にこんな気持だったか? というとそうではない。たしかに腹は膨れる感覚はあったけどね。基本私は口から食事を取る――ってことをやってない。
栄養は繋がってる部分から多分送られてきてる。だから食事をするって事はない。体が汚れないように定期的にミストが噴射するし、排泄物もあんまりないが、生きてる限りどうしても出てしまうものはその都度、その部分に添えられるからね。
まあ私はここから動くことが出来ないから、至れり尽くせりなのはそうであってもらわないと困るんだけど。でもそこそこ長くここにいるが、この感覚は初めてかもしれない。
たしかに強敵に勝ったり、それこそ戦いのさなかにワクワクしたり……そんな感覚は何度もある。でもそういう気持ちよさではない。なんて言ったら良いのか難しい部分だけど……勝利の余韻というよりも、満たされた感覚なのだ。
そう思ってるとなんか視界に文字が表示された。
『この機体に新たな機能が追加されました』
「今のがそうってこと?」
この満たされた感覚は私自身に新たな力が生まれたから? いやG-01に……なんだけど。私とG-01はその名の通り一心同体。だからG-01の新たな機能が追加されたのなら、それは私の力と同義。だからだろうか? けど……
「同じ様な機能はあったよね?」
これははっきり言って汎用性はあるけど、私がやったのはあくまで鬼に対しての効率的なエネルギー搾取な工程である。それを新たな機能……といって良いのか? もしかしたら私が与えたのはきっかけで、足りなかったピースを揃えただけ……なのかもしれない。
「なんか名前付いてるし……ええっと『仮現減界の法則』……ん?」
大層な名前がついてた。なんだこれ?