「なんだ?」
黄金の鬼の様子が何やら変わった。それに……だ。さっきまでその力が高まりつつあったのに、それが一気に縮小したような……そんな感じを感じた。
「いや、なんでもいい。これは−−!!」
自分は一気に聖剣の力を解放した。その瞬間、空気が変わる。乾いた大地に水が宿ったかのように息苦しさがなくなった。肺いっぱいに空気を吸い込む。体全体に空気が行き渡るかのように意識して、一気に砂を蹴った。
今までで一番の砂ばしらが立っただろう。鬼は何やら戸惑ってるようだ。でも流石に一気に近づいてきた自分に対して、迎撃をしないといけない−−と黄金の鬼は考えたんだろう。
向かってくる腕、その拳は大きくて自分の体を包み込む程に大きい。真っ直ぐに進んだから今更避けるなんて無理がある。なので聖剣を振るった。聖剣の刀身と黄金の鬼の拳がぶつかりあう。
理想としてはスパッと切れて欲しかった。なにせ今までよりも一気に力が落ちてる。それでも……それでも硬い。でも今までならそれこそここで拮抗もできなかっただろう。こっちの攻撃は、こいつの体に傷ひとつつけることが難しかったくらいだ。けど……今は食い込んでる。肉まで行かなくても、皮は傷つけられてる。
「づあ! うらああああああ!!」
ぶつけた剣を起点に体を無理矢理回転させて、鬼の腕を走るように移動する。このまま腕と拮抗してても意味なんてない。人体……いや、生命体にはそれぞれ強い点、そして弱い点というのがある。それに関して言えば、拳というのは強い部分だ。それならもっと弱い部分を狙う。そう鬼の弱い部分。それは−−
「がああああああああああああああああああああああああ!?」
自分は聖剣を横に一閃した。それによって何を切ったのか。それは黄金の鬼の目だ。実際鬼がその目で見てたのかはわからはない。なぜなら、自分達のように眼球があったわけじゃない。ただ目のような部分が顔にある……という感じだ。でも痛がってるということはダメージが通ってるってことだろう。
やはり目とかはどんな存在でも弱点になるんだなとわかった。でもまだだ。顔には目のほかにも弱い部分がある。それはその口だ。今はその口を大きく開いて咆哮してる。その口にさらに自分は聖剣を突き立てる!!
そしてそのまま、鬼はバランスを崩して、砂へと倒れ込んだ。