違和感がずっとある。それに慣れない視線。そしてなれない思いやり。それに……
ズズズ――「ぷはっ」
そういって味噌汁を吸ってる彼女。次に手を向けるのは生姜焼きである。スーパーに売ってる平べったい安い肉ではある。けどそこは工夫と愛情とでもいうのか、そんなのが合わさってうまく感じる。
それに……
「おい、垂れてるぞ」
「ん!」
みんなで一つのテーブルを囲んでの食事。隣の子供は生姜焼きの汁が口元についててベッタベタだった。まだ一桁くらいの歳だし仕方ないかもしれないと思い「はぁ」といって近くのナプキンを取る彼女。そして――「ほら」――といってグイっと口元強引気味に拭う。それは女性としてはとてもぶっきらぼうな動作だった。
けどそれをやられた幼い子供は「キャッキャッ」と嬉しそうである。そうしてると……それを今度は逆隣の子がこういってくる。
「ん! ん!」
とね。その口元はさっき拭いてた子と同じくらいには汚れてる。
「お前たちな……面倒な事するんじゃねえ!」
そんな風に言いながらも、両隣の面倒を見る少女。そんな彼女を見て、この施設のお母さんであるおばさんはニコニコとしてた。
「相変わらずなつかれてるね」
「なんで俺なんかに」
「優しさがあふれてるからじゃないかな?」
彼女と同年代くらいの女の子がそんな風にいってくる。その言葉に彼女はぽかんとした。そしてこういった。
「はっ? 優しい? 本気かそれ?」
「だってそうじゃなかったら、その子たちそんなになつかないよ」
そういってほほえましく見てるその少女に彼女は言い返すことができなかった。そしてその時、初めて知ったんだ。これがまんざらでもないってことを。
「そんなんじゃねえよ。俺は、そんな奴じゃねえ」
「はいはい」
彼女はそういって否定するが、それもいつもの事のように流してしまう。それに両隣の子たちはそんなことを言ったし、それにこんな乱暴な言葉遣いをしてるにも関わらずに離れることはしない。それだけ慕ってるってことだろう。
「お姉ちゃん!」
「うん?」
「「美味しいね!!」」
両隣の子供たちがそんな風に言ってわらう。そんな言葉を一瞬キョトンとした顔で受け止めると彼女は片腕であごを支えてぶっきらぼうに恋った。
「こんなもんだろ」
とね。