「ゆゆゆゆ、勇者様……これは一体……」
私は声が震えてるのを我慢できずにいた。いや、それも仕方ないだろう。それに私のそばでは王も「うおおおお……これは……」となんとも驚嘆しかないようにうなってる。
それほどの物がもたらされたのだ。一体何がどうやって、こんなものを彼は献上してきたのか……普段からネナンに渡すアクセサリーはどれもこれもとても精巧に作りこまれてると感じてたが、その何倍も今回のそれはすごかった。
まさに芸術……これを見て心震わせない者はいないだろう……いやいたとしたらその者の目は節穴としか言いようがない。それほどの精巧さ、緻密さ……そして繊細さだ。どうやって作ったのか……全く持って理解ができない。それほどの逸品だった。
「都市核です」
私たちの動揺など何のその、勇者様はいともなく簡単に……それにいつもの調子でそんな感じにおっしゃった。そして私や王……さらには他の街の領主たちも――
「都市……核?」
――と疑問形になった。それはそうだろう。なにせ私たち領主は都市核の形を知ってる。知らなければ、都市核とはなんときれいなんだろう――で終わるだろう。実際、この場所には見たことない者たちもいるだろうし、その者たちはその造形の美しさに感嘆してるが、都市核と聞いてある意味で納得してるようなかんじすらある。
なぜならば普通は領主以外は都市核は見ることすら叶わない。だが、民衆の間では都市核は街を支えてて凄いエネルギーを持った物体――というのは認知されてる。だからこそ、想像でものすごく凄いものを精いっぱい連想させて思い描いてたんだろう。
だからこれを見ても「想像よりも凄い」とかだろう。だが我々領主陣や王は違う。
『いや、これが都市核って……全然違うじゃん』
――が知ってる者たちの反応である。いや本当に面影一つもない。あるとしたら球体の下半分くらいである。こんなどこぞの芸術のような形はしてない。断じてだ。寧ろ面白みもない形だ。
「本当に……これが都市核なのでしょうか?」
そう聞いてしまっても何ら不思議ではないだろう。なにせ違うんだから。確かに何やら凄い力を感じる気はする。けど……さらに我々を疑問にさせてるのはそれが三つあることだ。都市核が三つ? もしもこれが都市核なら我がアズバインバカラに都市核が五つあることになる。
それはとても異常なことなんだ。