「「「うらうらうらう、おらおらおらおらおらおらおら」」」
なんとか命を危機を脱したことで、何やら四人はテンションがおかしなことになってた。一番の功労者のアンゴラ氏を皆でたたいたり、おしたりくしゃくしゃとしたり……そんなことをしてた。
すると――
ガン!!
――瓦礫の一部が直情に高く上がる。それを四人はボーとみてた。そしてそのそこそこデカい瓦礫が重力に逆らえずに地面に落ちてくる。ガンッガガ――と嫌な音を立てて落ちて転がり、さらに瓦礫が散乱する。
「おい……あれ」
誰かが、そういった。四人のうちの誰か……が。そしてその視線の先を四人は見た。それは腕なのか、足なのか、それとも尻尾なのか……はたまたそのどれとも違う何かなのか……一体四人にはあれが何なのかわかんなかった。ほの暗い月明かりが頼りなさげに照らしてるせいなのかもしれないが、たとえあれが昼間にはっきりと見えたとしても、何かなんて理解できないような……そんな気が四人はしてた。
まっすぐに伸びてたそれが瓦礫の中から膨らんで、まるで心臓の鼓動のように何回も動き出す。その動き……とても気持ち悪かった。まるで内臓の動きを体を開いて見せられてるような……そんな気持ち悪さ。
何かなんてわかんないのに、けどそれを明確に理解したくないとも、四人は思ってたのかもしれない。
「に、逃げろ!!」
アンゴラ氏が精一杯の勇気を振り絞ってそういった。再び四人は走り出す。彼らは人が多い駅を目指した。今度はたくさんの猫に追われることもなく、四人はなんとか駅までたどり着いた。そこでようやく安心したのか、四人はへたり込む。
「はあはあ……よかった。ここは普通だな……」
「ああ、普通だ」
「そうだな」
普通の素晴らしさ、日常の輝きを四人は感じてる。何でもないただの退屈だと思ってた日々。それが本当はどれだけの奇跡でできてるのか……それを四人は実感してる。けど、その時あと一人がこんなことをいった。
「なんか普通すぎないではないですか?」
「うん? なにいってるんですか?」
「そうそう、これがいいんじゃないか」
そうやってアンゴラ氏とビールっ腹の人がそういう。そこで猩々坊主が周囲を見回して、そして耳元に手を置いて音を聞いていった。
「いつもどおりの光景すぎるということかな? さっき、ビルが一棟、近くで倒壊したにも関わらず……」
「「そ、そういえば」」
そこでアンゴラ氏たちも気づいた。ビルが一棟いきなり倒壊するなんて、ニュースになってもおかしくない。それに近くなら、それこそ警察や消防が出動するのではということだった。
でも、この駅前はいつもの光景を映してた。穏やかないつもの光景を……それを実感すると、まるでこの光景が途端に不気味に思えてくる四人だった。