uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 941

「どうしたんですか?」

 

 そういって勇者が目の前のペニーニャイアンへと質問する。ペニーニャイアンも勇者が来る前にどうやらちゃんと身だしなみを整えたのか、きちんと呼吸を整えたらしい。けど……なぜか服のボタンは更に開いてた。

 

「聞いてほしいの。私、これから取っても重要な事を話すわ」

「はぁ」

 

 なんか勇者も面倒くさそうである。まあ勇者は忙しいからね。なにせ魔王がいなくなったから、実質勇者が私たちの集団のトップ……という認識になってる。アイとかもいるけど……アイはなんかいきなり出て来た存在だからね。最初から矢面に立ってた勇者が私たちの中でリーダーと思われてもおかしくない。てかそう思われてるし。私は存在自体を隠してるからね。まあG-01はもしかしたら自律的に行動できるんでは? とは思われてると思う。

 そもそもがあんまり勇者が直接命令してる場面なんてないしね。でも私という少女が中に入ってるとは思えないだろう。だから私に対しては拝む程度。面倒なことが頼まれることはない。

 なので面倒なことは全て勇者が担ってる。それに勇者は人当たりが誰よりもいいし、性格も流石勇者としか言いようがない性格だ。魔王は魔王だったしね。まあ今はいないけど。代わりに来たアイは男性陣への受けはいい。最初だけね。

 最初だけというのは、アイは人の気持ちなんて考慮しないのだ。いやできない。私に対して遊んでたし、もしかしたら意図的かもしれないが、あいつは周囲に合わせるってことしないからね。基本丁寧な言葉遣いを使ってるから不和を起こすってことはそうそうないが、誰もが一歩引いての接触になってしまってる。いや、ある意味で崇拝……とかされてるけどね。アイは魔王の後釜に納まったから基本ジャルバジャルにいる。実際そこの奴らはなんかやけに魔王を尊敬してた。

 そこにどうやってアイがつつがなく収まったのかは……まあ正直よくわかんない。私もそこら辺の機微は想像やら、前世の物語くらいしか知識がない。

 でもなんかいつの間にかジャルバジャルの人たちにアイは受け入れられてた。今や毎日あいつの椅子を取り合うほどである。ちなみにいうと、椅子というのは人間椅子であり、つまりはジャルバジャルにはアイの椅子になりたい……という奴らか大量にいるという狂気の街になってるということだ。恐ろしくて今や私はあんまり近寄ってないよ。

 だから何をしてるのかはよくしらない。まあけど、問題はないようだ。つつがなくジャルバジャルを発展させてるからね。そんなことを思ってるとペニーニャイアンは勇者に対してこういった。

 至って真剣な顔でね。

 

「教会の上層部が、巫女をいけにえにしだしたわ」

「それでどうなるのですか?」

「えっと……そう、最終決戦が――」

「既に教会の進軍は確認してます。そしてそれに対する備えも始まってますよ」

「えっと……私がいれば教会への交渉材料に……」

「深くは言えませんが、それは間に合ってるので結構です。ここで世界の運命を祈っててください。それがきっと一番安全ですよ。それでは」

 

 そういって勇者は丁寧に対応して出ていった。何かその背中に言いたそうだったペニーニャイアンだけど……どうやら二の句は告げなかったらしい。でも完全に扉が閉まって……数秒後……こんな声が聞こえた。

 

「何なのよもうおおおおお!?」

 

 彼女はきっとここまでぞんざいに扱われたことなんかないからプライドが傷つけられたんだろう。まあしっかり反省してほしい。