uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 325P

「ごめんなさい」
「うん? 何が?」
 
 なるべく早くあの店から出て、別の場所に向かってる途中でそんな風に平賀式部は野々野足軽に謝ってきた。何が? とか言ったが、野々野足軽はちゃんとわかってる。なにせさっきの事はかなり衝撃的だったからだ。
 それにああなってしまったのも普段はそんな事絶対にしそうもないような平賀式部が妙な積極性を出してしまったからだ。それをきっといっぱい彼女は後悔してるんだろう。
 
「さっき、私があんなことをしなければ野々野君は二回もぶたれることなかったのに……」
「いや、あれは俺もデート中に他の女性を見たのが悪いし……それに平賀さんがぶたれるよりは俺がぶたれた方がよかったしね。あの人きっと平賀さんでも普通にぶってたと思うし」
「それは……そうだね」
 
 お互いそれには納得してしまう。きっとあの女には男性や女性とかいうくくりはなかった。ただあの彼女が心酔してた男に対しての思いだけで、彼にとっての必要かどうかだけが彼女の指針のようだった。
 この時代に信じられないような考え方だが、実際その目で目撃した二人はその考えを共有してる。
 
(それにしてもあの考え方……洗脳されてないとおかしいくらいだが?)
 
 そう思う野々野足軽だ。なにせどうあっても現代で普通に成長してきたら、あんな考え方になるわけがない……と野々野足軽は思ってる。けど洗脳とかはされてなかったことも野々野足軽は力で確認してる。だからこそ謎……最近はこの町に変な人たちが増えてるといってもあれはまた別のベクトルで新鮮……というか別種の怖さがあった。なにせ力がある野々野足軽さえ、あの女性には恐怖というのを覚えたくらいだ。
 本気で彼女のいってたことを理解できなかった。そして会話にならなかった。それの恐ろしさ……目の前にいるのは人の形をしてるはずなのに、人じゃないように感じる恐怖ってやつを野々野足軽はあの女性に感じたんだ。
 だからちょっと心配する。
 
「あの男大丈夫だろうか?」
「まあそれは……自業自得じゃないかしら?」
 
 それはまあそうなんだが……と思いつつもあの女に目をつけられたのもあの仮面のせいとなると、野々野足軽のせいとも言い切れない……とちょっとは責任を感じる野々野足軽だった。