uenoutaの日記

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転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 971

「うおおおおおおおおお!!」
 
 俺は真剣を向けて勇者に斬りかかる。訓練してたとあって俺は上半身裸で、向こうはきっちりとした白い服をきてる。その服を砂まみれにしてやろう。そんな思いだった。
 
 素早く近づく。そしてまずは走る途中で片手に砂を掴んでたそれを勇者の顔面にぶちまける。周囲からは「最低!」「なんてことやってんのよ!」とかいう女たちの文句が飛んでくる。けどそんなの気にしない。
 この男が無様なところを見せつけようとしてるんだ。そんな非難は甘んじてうける。そもそもあんな周囲のモブみたいな奴に何を言われようとどうでもいい。ここでこの勇者を負かしてその噂を街中に拡散させてこいつの評判を落とすのが目的なんだ。勝てなくても一発入れて無様な姿を見せて女どもの目を覚まさせてやる。
 
 俺の砂の攻撃に勇者は思わず目を閉じた。狙い通り。ここだああああああああああああああああ!! と俺は真剣を振り抜いた。確実に殺った――とそう思った。いや実際なんとかすると思ってたかも知れない。なにせ奴は……勇者は隔絶した強さを有してると聞いてたからだ。
 まあもちろん俺よりも強くイケメンなんて殺れるものなら殺っておきたい……その思いがなかったか? といえば嘘になる。だからこそ思い切って俺は剣を振っていた。訓練に使う刃をつぶした剣じゃない。
 俺の愛用となった剣での一撃。それにこの新しい剣は素晴らしい切れ味をしてる。まだ砂獣相手に使ったことはないが、それでも伝え聞くところによると、砂獣の硬い甲殻を一撃の元に切り裂くことだって出来るらしい。
 それも……だ。それも別に訓練とかしてない一般人が使ったとしてもそうらしい。なら俺が使ったらどうなるか? 気に入らないやつの建物とか切れそうだ。
 そしてそれだけの切れ味があるからこそ、こんなふうに抵抗がなかった……と考えることも出来る。なにせ気持ちいいくらいに振り切る事ができた。さっきの目潰しで相手が避ける事ができたとも思えなかった。
 だから俺はあの英雄を殺ってしまったかもしれない。けどそう思うと、後悔よりもやっぱり興奮の方が押し寄せてくる。
 
「くははっ……ははははははははは!」
 
 そんな笑いがでる。けどその直後だった。
 
「戦闘中に油断するのは感心しないな」
「おごっ!?」
 
 次の瞬間、腹に伝わってきた衝撃。俺は数メートルは吹っ飛んでそのままゴロゴロと転がって、更には腹の中のものをぶちまけた。
 
「ああいうのじゃなく、ちゃんとした訓練の成果を見せてほしいんだよね? 出来る?」
 
 その口調は優しい。この訓練を担当してるクソ野郎どもとはまるで違う。だが……その雰囲気はそうじゃなかった。有無を言わさない圧力……そんなのを俺は感じてた。それだけで、俺のなんのプライドもなん……自尊心しか無いような心はへし折れてしまった。
 
「ご、ごめなさい……こころさないで」
 
 そう言って震えるだけになってしまった俺には訓練を続けることなんてできなかった。