uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 990

「おい! どこ言った!?」
 
 そんな風に俺は叫ぶ。この暗闇ですぐ前にいるバズだし、聞こえないはずがない。でも、何も反応はなかった。それよりも……何かがポワッと浮かび上がる。それは火の玉の様な……それだった。そしてそれが向かってきた。
 
「なんだこれ?」
 
 とりあえずそんなことを言いながらも避ける。火の玉はそれこそ拳ほどの大きさしか無い。それに、そんなに早いわけでもなかった。だから避けるのはそんなに苦じゃない。
 でも……
 
(どういうことだ?)
 
 俺たちは細くて入り組んでる路地を行ってたはずだ。なのに……この暗闇は相当に広いらしい。暗闇だから広いとかなんとかわかんないはずだが、火の玉は色んな所から飛んできてる。
 路地なら、それこそ二人が横になるだけで壁にぶつかりそうな……そんなところだってあった。一人しか通れないような路地だってあった。
 路地とはそういうものだろう。なのに……だ。なのにこの火の玉は障害物なんて全く無いかのように飛んでくる。俺も最初はここらへんに壁が……とか思って注意してた。なにせ思いっきり動いて、壁にぶつかったりしたら大変だからだ。
 でもどうやら……壁なんてのは無いらしい。避けるなかで左右やら何やらに走ってるんだが、壁にぶつかるってことがない。どうやらこの暗闇はやっぱり広い。
 この異常な事態……考えられることは一つしか無い。
 
「魔法……」
 
 そうなんだろう。つまりこれは、教会側の攻撃。きっと俺たちに気づいたやつが居たんだ。そいつらが俺たちをはめた……そう考えるのが一番自然だ。
 俺は周囲を見る。術者を探してるんだ。けど周囲は闇。光は火の玉だけ。そしてその光も周囲を照らす……とかはしてない。せいぜい火の玉のほんの数センチくらいしか照らせないみたいだ。術者は必ずいるだろうが……これでは……それにこの空間は相当に広い。
 そして魔法を使う術者は敵に近づく必要なんてない。確かにこの火の玉は遅い。でも……
 
「どんどんと多くなってきてるな……」
 
 少しずつだけど、火の玉は多くなってる。このままだと避けるだけの余裕さえなるかも知れない。剣で切り裂けるかどうかを試したら、一応切れた。
 でも……それよりも増える方が早い。一体どうすれば……