uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 363P

「くっ!?」
 
 思わず俺は頭を抑えた。頭に直接届くから、あまりにも強烈な声……というか思考? なのかこれを浴びたら、頭が叩かれるように痛むのだ。そしてこれには防御手段はない。
 最初からそれを想定して防護幕でも張っておいて、一定以上の音……というか思考を減衰するとか? そんな仕組み作っておいた方が良いかもしれないと野々野足軽は考える。
 そもそもがこれをやってるのは普段はアースと自分自身しかないから、必要性を感じてなかった野々野足軽だ。けどなにが起きるのかわかんないと今回のことでわかった。そこそこ力も使いこなしてきて、世界にはもしかしたら自分以外には『力』を持ってるものはいないのかもしれない――とか思い始めてたけど、人類では同じ様な存在はいなくても、それ以外の存在……つまりは『悪魔』もそうだし、今回でてきた『風の子』だってそうだ。それに最初に水に意思を宿す……なんてこともできた。
 この世界には確実によくわからない存在。それこそ人間に存在を感知されてない存在はいる。ならば、それらの為に対策してるのは無駄にならない。ならやってもいいと野々野足軽は思える。
 
 なにせいくら野々野足軽が力を高めたとしても、弱点は存在してる。肉体がある限り、その弱点はこの肉体ということになるだろう。なにせ……だ。肉体が損傷すれば死ぬのだ。当たり前だけど。
 そして肉体でどこが一番の弱点かというと、それはやっぱり『脳』と『心臓』だろう。けどこの攻撃……というか意思をぶつけるなんてのは脳にしか効果はない。なにせ心臓にはそれを受け取るための機能はないからだ。
 
「とりあえずノイズキャンセル的な感じで……」
 
 最近のノイズキャンセルは優秀だ。それは確か同じ位相の音をぶつけることで音を相殺するとかいう考えだったはず。けどそれは音だから……波だから出来ることだ。
 じゃあ思考には何をぶつけたらいいのか?
 
(同じ思考? いやノイズキャンセルは逆位相をぶつけてるんだから……思考なら逆の思考をぶつける……とかか?)
 
 逆の思考というと、今のような「きゃあああ!」という叫びならどんなのだろうか? と野々野足軽は考えた。
 
「よっしゃああああ!!」
 
 ――だろうか? だって悲鳴は悲しみや驚きである。恐怖でもある。だから喜びというか、勢いというか……そんな感情を表す「よっしゃああああ」かな? と野々野足軽は考えた。けど……だ。けど……
 
「いや、音に比べてだいぶ複雑だなこれ」
 
 音は位相という一つの指針があった。だから逆位相をぶつけるなんて事が出来るんだろう。でも感情は? 感情は確かに大まかには喜怒哀楽に分かれるかもしれない。けどそれだけじゃない。完全にどれかに分かれるようなものでもない。
 
 つまりは完全な逆――というのは存在しない。そうなるとどうするか……
 
「多重に脳を保護するフィルターでも張っておくとか? それかこっちの感度を下げたり?」
 
 そんな案を野々野足軽は考える。