おかしな事が起こった。それは砂獣が強くなった。明らかに……だ。それは奴らが不気味な空から落ちたきた物を食べてからだ。今までこの新しい武器、そして新しい強化法を使えばいままでの砂獣なら一発だった。
それこそ一刀両断といえる事が簡単に出来てた。でもそのくらいじゃないとつり合いなんて取れないんだ。なにせ砂獣は多い。それこそ無限……と言えるほど。
更にいうと、俺たちよりも全然強かった。そしてこの武器と、強化法がある今と前ではそれこそ全く違う。数も多くて、前はそれこそ砂獣の硬い甲殻を一撃でスパッと切れるなんてなかった。
何回も何回も叩き続け、こっちの武器も一戦でボロボロにしながらなんとか一体倒す……それこそ複数人で……が普通だった。それが一人で簡単に何匹も相手にできたようになった今がおかしい。それに……だ。確かに通りづらくなったが……それでも以前よりはまだマシだ。
もっと言えばあいつは――
「はあああああああああああああああああ!」
――そう叫んで彼女が一気に二匹の砂獣を切り裂いた。それはさっきまで……そう、砂獣が強化される前と同じ様にといっていい。
けど俺だって負けてはない。俺も強化法を教えてもらって、更には剣技は彼女に教えてもらって鍛えてきた。そしてわずかに掴んだ今の感覚。手にさらに馴染むような……それによって俺も目の前の色が禍々しく不気味になった砂獣に押し付けた剣を無理矢理押し込んで、一刀で倒してみせた。
全く抵抗をみせなく切ってたさっきまでとはぜんぜん違うが、それでも、気合を入れれば一撃で倒せないこともない。それでも俺は一体が精一杯で、彼女は二体を一気に倒してる。力では俺の方が強いはずなのに、結果は腕力には比例してない。
きっと彼女の方が身体の使い方とか上手いからだろう。そして力を入れる流れ……相手への読み……そんなものが諸々俺よりも彼女の方が強い。
結局俺は彼女と共に生活して訓練してたけど、一回も勝つことはできなかった。追いついたと思っても、それは旨く彼女が手を抜いてて達成させられる目標だった。
結局のところ、俺では彼女の頂きを見ることは叶わなかった。眩しくて、そして妬ましい……そんな感情が普段ならあった。けど今は違う。こんな味方がいる。それはとても心強いことだ。こいつがいれば強化された砂獣達だって抑えられる……そう俺に……いや俺たちに思わせてくれる存在なんだ。