uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 686

「うああああ!?」

「ぐおおおお!?」

 

 そんな声を出しながらも、市民の皆さんはなんとか進化した二足歩行の砂獣の攻撃を避けてる。わかってないだろうけど、武器によって強化された身体能力のおかげだろう。実際それがなかったら既に数人は死んでる筈だ。それこそ悲惨な死に方してると思う。

 どうやらあの二足歩行の砂獣はかなり強化されてる。その防御力もそうだし、その攻撃力だってだ。まああれは攻撃力というか、攻撃のバリエーションって感じはある。なにせ元々の蟻の体だったら、噛みつくとか体当たりとかしかなかったわけだからね。

 それが今は両腕があるし、そこに刃が付いてるからね。斬る払う突くとか更に左右があるから、攻撃回数だって単純に二倍である。複数であたってるが、その外装を皆さん突破できてない。なにせ鎧のように元々の昆虫の外殻をまとってるからね。

 でもきっとあれは元々の外殻よりも強化されてるんだろう。だってそうじゃないと彼らが持ってる武器で切り刻めないわけはない。なにせこれまではあんまり力を入れなくてもスパッと一撃で一刀両断出来てたからね。でもどうやらこいつはそんな雑魚とは違う。一応ただの市民の人達でもなんとかやれてるが……今まで一刀両断出来て圧倒できてたから、戦闘に余裕があったわけで、そうじゃなくなると、勿論だけど余裕だってなくなる。そして余裕がなくなると焦りが生まれて行くわけで……

 

「うわ!? 邪魔するな!!」

「それはこっちのセリフ――うおおお!?」

 

 今までは調子良かったから、勝手に連携みたいになってたわけだけど、そもそもがそんな訓練とか受けてる人達ではない。だから齟齬が生まれると、こういう事も起こり得る。それに砂獣はあいつだけではない。

 どんどんと補充されるように砂獣はやってくる。あの進化した二足歩行の砂獣を相手できる人数はこれ以上増やすこともできないだろう。まだ武器的には余裕があるからもっと来てくれたら……って思うんだけどね。まあ既に30人くらいは来てる。でもまだ教会内にはその数倍の人数は居るからね。

 まだ戦える人はいるだろう。でもある意味で一定の数が行くと「もう自分がいかなくても」っていう心理になるのかもしれない。たしかにあの武器を持てば普通に戦える。恨みを持ってる砂獣をバッタバッタと倒せるがそれでもリスクはある。

 勿論死ぬリスクである。それが消えることはないからね。いくら強化されたからって、油断したら死ぬ。それは戦場であれば消えることは無いリスクだよ。まあだからこそ、もういいか……と思ってる人達はこれ以上来ることはない。それに進化した砂獣まで出てきて、絶対的な有利がなくなったとかだと、勝ち馬に乗ろうとしてた奴らは二の足を踏んでしまう。

 

(いや、そんな物は最初からなかったけどさ)

 

 この波が始まったその時から、サーザインシャインインラが有利だったときなんて実はない。今だって滅亡をなんとか延命してるだけだ。局所的に見たら、強力な武器を得て、盛り返したように見える。

 てかそれを私が市民の皆さんに見せてたわけだからね。そうしないと心が持ち上がる訳もなかったからね。心が負けてたら、行動になんて移るわけない。局所的な盛り返しを演出してただけだ。だからまあ全体的にはずっと劣勢だった。

 だから戦場に何も変化なんて無い。けど、少しでも長く抵抗を続けてれば、アズバインバカラからの応援が間に合う可能性は高くなるからね。サーザインシャインインラにはそれに期待するしかないのだ。 

 さすがの進化体だってもっと多い人数で袋叩きにできれば、攻略できないことはないと思う。それが出来るのも、彼らの心が折れない内……だけどね。

「あわ……あわわ」

 武器を持って戦ってた一人がそんな風に言って、隅っこで丸まってしまってる。さっきまでは彼も砂獣を気持ちよく一刀両断してた。けど、それが出来ない敵が出てきたせいで、死の恐怖を思い出してしまったんだ。

 恐怖が体をこわばらせる。そうなるとまた戦えなくなる。だって彼らはただの市民だ。勢いと調子がなければ戦うっていう行為を続けられないんだ。

「これが広がるとまずいね」