テレビにてニュースキャスターが言う――
『聞こえてますでしょうか? 謎の音はあれから断続的に聞こえております。今、世界中でこの音がなんなのか、その調査が――』
どこかの街頭で演説してる者がいる――
『おお! 聞こえてるだろう!! この音は地獄の窯が開いた音だ。これから世界は混沌に染まるであろう!! そこで人々は食われ陥れら……世界は破滅する! だが心配はいらない。我らが主に願えば、救いが与えられるだろう』
さらにネット上ではこの音が一体なんなのか、色々と考察がされてた。
『なんだこれ?』
『どこから聞こえてるんだ?』
『部屋にいても、外にいても同じようにきこえるし、ヘッドホンとかしてもなんの関係なく聞こえてくるぞ?』
『音じゃないんじゃないか?』
『音じゃない? じゃあ、何なんだよ?』
『それは……わかるわけないだろ』
『はぁーつっかえねえ』
『なんだと! お前はわかるのかよ!』
『まあまあ、そんなことよりもなんか空、震えてね?』
『はあ? 何言ってるんだよ?』
『いや、引きこもり共、ちょっとくらい窓を開けて空を見てみろ。なんか音に合わせて震えてるから』
『おい……マジだぞ』
『おいおい、本当に世界の終わりなのか?』
『これがギャラルホルンの音か……』
『ならこれから始まるのはラグナロクかよ?』
『はは……洒落にならないぞ』
『洒落で済めばいいな……』
世界が謎の音に震える中、その中心にいる野々野足軽も驚愕してた。
「まさか、出ようとしてるとか……言わないよな?」
『何が? てか何があったの?』
これは言っていいものか……との野々野足軽は考える。実際この風の子に年齢なんてないと思う。幼そうに見えるのは純粋だからで別に子供だからってことはないだろう。けど……純粋だからこそ、真実を伝えるのはためらわれるというか? なにせ……だ。あの穴の向こうにいた風の少女もこの風の子と同質の存在だったわけだろう。なら……だ。なら……もしも真実をしってこいつまで絶望してしまったら……ドラゴンが二体になる……とかないか? とそれが野々野足軽は心配だ。
「お前は、ドラゴンとかにならないよな?」
『何のこと?』
野々野足軽の突然の発言に風の子は首をかしげてる。無理もない。けどそんなことをやってる間にもドンドンと聞こえるその感覚は短くなってる。それに……
「空にヒビが入ってないか?」
なんかマジでドラゴンが出てきそうで野々野足軽は焦る。