uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1053

「皆を……守る……守ってみせます……」
 
 アズバインバカラやジャルバジャルは先にドーム状に植物で包んでたお陰で砂に巻き込まれて流されるって事はないと思う。そもそもが地盤的に硬いところに街はできてるって聞いてます。
 でも戦場は砂の上で、いきなり流れ出した砂にみなさんが足を取られて黒い光が穿つ穴へと吸い込まれていってしまってます。あそこに落ちたら……いえ、巻き込まれたらおしまい。
 それはすぐに分かりました。怖い……けど何もしなかったらきっと後悔してしまいます。私は両親に約束したんです。私は頑張るって。私は沢山の優しさを与えられた。両親から、そして周囲からだ。別に両親がいなくなる前でも私には普通に友達とかもいたし……力を持ってからの優しさは勇者様が言ったように、私の力目当て……ってのもあるのだと思う。
 けどそれでも、王様たちは家族の様に思っていいと言ってくれた。皆も良くしてくれた。確かに私は立場を得たけど、同じ様な年齢の子どもたちはそんなの関係なくあそんでくれた。
 
 だからこそ……皆が悲しむ顔なんて見たくない。私がそれを防げるのなら、頑張りたい。誰も死んでほしくなんて無い。分かってる……本当はもう何人も……そう何人も死んでる。けどそれでも……私は私の出来る事をやるんだ。
 
 植物を成長させて、穴に落ちていく皆さんをなんとか守る。でも穴から遠いところだって危ない。なにせ地面が……地面が傾いてる。あの穴が原因だ。いや、穴というよりはその穴を作ったあの光……黒いのに明るい……そんな不思議な光。それが私達の世界を傾かせて、全てを飲み込もうとしてる。私にはすごい力があるんだよね? それならあの光だってなんとか……なんとかできないのかな? 
 
「けど……」
 
 勇者様もアイ様もやってどうにもできてない。あの二人はこの世界の人たちじゃないからなのか、本当にものすごーく強い。特別なはずの私でもあの二人には勝てない。私の先生だ。その二人がどうにもできてない。それなら……私にはどうしようも……そんな事を思ってると、黒い光じゃない。もっときれいな光が輝く。それと同時に、黒い光を裂いて、アイ様が黒い光の中から出てきた。そして二人が動いたのは同時。
 勇者様はその剣の光で腕とこの黒い光線を切り裂き、そしてアイ様はこの光が降り注いでるところへと幾重もの光線を放つ。その2つの行動によって、黒い光は収まった。でもそれであの扉の化け物を倒したのかな? というとそうじゃない。一時的に扉の化け物はその姿を消した。一瞬、本当にまったくその存在を消した。でも、それはほんの一瞬。次の瞬間にはなくした腕も頭ももとに戻って復活してた。まるで全てはなかったかのように……だ。
 
「そんな……」
 
 私は思わずそんな声を出してしまいました。