uenoutaの日記

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転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1044

「私も……それにこの世界をただ貴方たちにまかせるなんて不義理な事をこの世界の人達は思ってません」
 
 ミレナパウスさんはそう言った。そして後ろの人達もその言葉に頷いてた。確かに自分達の世界……そして未来を勝ち取るのは自分たちでありたい……と思うのは当然だ。もしもずっと与えられた人々だったのならそれは違ったのかもしれない。けど彼らはそうじゃない。彼らはこの辛い世界で、それでも懸命に生きてきたんだ。だからこそたくましい。誰か……なんて言葉はきっとこぼさない。いや教会の奴らならこぼすだろう。奴らは自分たちを偉いと思ってる。
 だから危なくなったら、誰かが自分を助けてくれるし、きっと見捨てられる事はない……と思ってる。だから最後に「誰か……」と叫んで死んでいく。けど地上で生きてきた人たちは違う。自分たちで切り開く明日を知ってるんだ。危険なんてない中央の人たちとは違う。
 だからこそ、最後まで戦うという覚悟にきっと嘘偽りはない。
 
 扉に変化が訪れる。まだすべての穴には都市核はハマってない。それなのに……ギギギギギ――となんと扉が開き始めたんだ。
 
「どういうことだ? 楽園への扉がもう?」
「いえ、何やら様子がおかしいです」
 
 白く光ってた扉。けど今はどうだ? アイ嬢の言葉通り、開こうとしてる扉はなんかおかしい。さっきまで白かったのに、デザインはそのままになんか黒くなってるし、赤く禍々しい色が都市核がハマるべき場所で光ってた。前開きした扉。そこからなにかが出てくる。それは黒く大きな腕がまず出てきた。黒いその腕には螺旋のような白い渦の模様が走ってる。そして驚愕すべきはその大きさだろう。まだ腕一本だけなのに、その大きさは腕だけで数十メートルはあるだろう。だって扉から地上まで普通に届く。
 
 一体あれがなんなのか……それは自分たちにはわからない。けど……あれはまだ出ようとしてる。いや、サイズ感を考えたら腕一本だけしか出ないと思うが、あの扉も魔法的なものだ。それなら出てこれるのかもしれない。全身が出たら明らかにヤバいだろう。それは腕を砂に突き刺してグリグリとしてる。すると肩口がグリッと出てきたのがみえる。やっぱりだけど実は腕しか無い化け物……ではなく全身がありそうだ。
 それなら……大人しく待ってるなんて愚行だろう。この化け物は今、あの扉から出ることを優先してる。ある意味で今がチャンスだ。
 
「やるんですか? はあ……まった――く!」
 
 そんな事をいって一番に攻撃を仕掛けたのはアイ嬢だった。その手にいつの間にかでっかいメカメカしい銃を出して、飛び上がったら、腕にめがけて発砲する。極太のレーザーの様なそれは一回砂から手を上げたナニカ……にあたって弾き飛ばす。
 
「今……あいつ街を?」
「アレの狙いも都市核なんじゃないですか? 今開いてる状態は普通ではなさそうですし。あれはもしかしたら神が用意した都市核を回収するための存在……なのかもしれないですね」
「なんのためにそんな存在を……都市核を回収なんて……それじゃまるで……」
 
 言葉を飲み込む。だってここには現地の人たちがいる。それなのにこれを言ってしまうと……
 
「まるで神に見限られたみたい……ですか?」
 
 なのに、アイ嬢ははっきりと言ってしまったよ。