「扉……か?」
「はい! あそこから嫌な感じがします!」
「だが、私には変化は分からないが? それにあの扉を使うためには都市核が必要なはず。それは我々が確保してる限り、教会側に揃う事はない」
「恐れ入ります王様」
「アイ殿」
なんかいつの間にかアイが王様達のところまで戻ってた。まあ状況をちゃんと説明できる人材が必要だからね。もしかしたらこっちで戦うのが面倒だからって事かもしれないが。いや、あいつはあの体で思いっきり体を動かしてみたいとか思ってたはず。それなのに一回下がった?
「今の状況がどういう事かわかるのかな? わかるのなら教えてほしい。我らはまだ勝ってないのだろうか?」
そんな王様の質問に周囲の人たち、それこそ王族の方々、そして軍の偉い人達は真剣にアイを見る。けどアイはそんな視線に動じることはない。ただ淡々と事実を告げる。
「はい、この戦場では私達は勝ったでしょう。ですが、教会の上層部、本当の黒幕達は今まさにこの世界を犠牲にする儀式をドリランドで行ってます。その影響が今、この場に及んでる。きっとあの扉を刺激して、扉が都市核を求める様に促してるのかと」
「促してる? それではまるで、扉が都市核を意思を持って求めてるかのようだぞ」
「そうですね。意思があるのかはわかりかねますが、そのシステムが、前提の装置を求めると考えればそこまでおかしなことではありません。ただの機械ではそんな事はありえませんが、あれは魔法的な物体で、そして神の御業。ただのテクノロジーではありません。いうなれば超高度なテクノロジーなのです」
「う……む?」
アイはペラペラと喋ってるが、王様達はついていけてない。なにせ……だ。なにせこの世界の技術レベルというのは低い。システムとかテクノロジーとかそんなのはわかんないのだ。そもそもが電子的な装置ってのはないし、魔法的な物はあったりするが、それを理解してるかといえばそうじゃない。だって魔法の技術は教会がひた隠しにして独占してたからだ。
教会から享受されたものを使ってただけで、その中身がどうなってるのか……なんてのは地上の人々はわからないんだ。けどそんな空気をアイも流石に感じてはいるようだ。けどアイはそもそもがAIである。どう言えばいいのか言葉が出てこない。そこにネナンちゃんがこういった。
「扉とトシカクってのは友達だから、手を取り合おうってしてるってこと?」
「それです」
幼子に的確に言い表されるのってどうなの? って思うが、どうやら皆さんそれで納得してくれたらしい。そして気付く。
「それはまずいのでは?」
「そうですね」
淡々というアイ。それに王様達は焦る。実際私のモニターにはカタカタと台座から今にも飛び出しそうな都市核が映ってた。