「来たな人形」
そんなことを言って、私の前に展開するのは聖騎士達である。全くいつかはこうなるとは思ってたけど、案外早かったね。あれから五日くらいは経っただろう。なんか知らんけど、私たちと教会側の都市核争奪戦はこっちに分がある。
まあ単純にG-01のほうが強いってことではある。なにせ都市核を内包した砂獣もG-01にとっては赤子みたいなものである。パチンとね。それだけでおわる。
それを言ったら向こうもでっかい聖騎士は圧倒できる程の強さを持ってたはずだけど、それでも流石に私程ではない。なのでどうやってもやっぱりG-01よりは時間がかかる。それに……だ。都市核を内包した砂獣は強いだけではない。賢くなってる。ただ向かってくるだけの敵ならそれはそれは倒しやすいが、隠れたり逃げたりするタイプだと、厄介だ。
まあそんな奴は私がおいしくいただくわけだけどね。なにせこっちには探索察知するための手段がたくさんある。はっきり言ってこの世界で既にG-01の探索範囲から逃れられるなんて思わないことだ。なので聖騎士達が逃した都市核を内包した砂獣はこっちがいくつかいただいた。確かに聖騎士達は強い。それに砂に沈んだ街を正確に把握してる。
なので街への接触は早い。でも奴らは戦闘に特化してるみたいだ。探索や察知はそうでもない。逃がしたら、それを追うすべは奴らにはないみたいだ。そういうところに力を入れてないのも、奴らの……教会の傲慢さが見て取れるよね。
怠慢でもある。実際、自分たち以外に都市核を内包した砂獣をどうにかできるわけもなし……的な自信があったんだろう。でも残念なことにその認識はもう古い。それをアップデートしないから遅れをとってる。そして奴らはとうとう打って出ることにしたようだ。
今までは私とはかぶらないようにしてたが、流石に砂に埋まってる街の数も少なくなってきてるからこうなるのは必然だった。でも……
「まさか、正面からくるとはね」
自分たちが取り逃がした砂獣たちを私が難なく倒してるとは把握してると思ってたんだけど……それに今まで、何回も私たち計画を狂わされてきたはずだ。なのに……それなのに正面からくるとは……でっかい聖騎士は確かに強い。でもどうやらあれは普通の存在じゃないというのがここ最近の調査で判明してる。
だからまともに相手にする必要もないんだが……
「教会の慌てふためく姿も見たいし……少し遊んであげようかな」
私はプラプラと手首を揺らして準備運動をするよ。