なんとか全ての任務は完了した。ザンサンシャカレの都市核は回収できたが、目標の全てを回収できたか? といえばそうでもない。なにせ教会も本腰を入れてきたからだ。
こっちが回収できた都市核は実際はザンサンシャカレともう一つだっだ。つまりは二個。残りは教会に取られてしまった。まあ仕方ない。一応民衆には興味がなかったのか、最低限の被害でアズバインバカラへとなんとか各地の民衆を連れてくることができた。
空の扉の都市核の部分は白く光ってる。既に赤くなってる部分はない。けどそれでもあの扉は開いてない。それはつまり都市核は全て人間側にあるが、それだけじゃあの扉……教会曰くあの『楽園へ続く扉』はどうやら人側が都市核を全部確保するだけじゃだめらしい。けど考えてみたらそれはそうだろう。だって最初……それこそ最初期は都市核を要した街はもっともっとたくさんあったのだ。
その時には全ての都市核を使ってた筈。でも切り取られた。それで現状程まで追い詰められたんだ。都市核が人側にあるだけであの空の扉が開いて楽園への道が開かれるのなら最初の最初に楽園に行くことができたってことになってしまう。
でもそれは出来てない。つまりは人の手に全ての都市核があるとしてもあの扉は開かないのだ。けど……だ。けど、すでに教会は動き出してる。扉を出現させて、そして都市核を再び集めてる。それってつまりは……
「きっと教会はあの扉の開け方にたどり着いた……」
そう考えるのが妥当だろう。きっと昔は都市核が全部そろってて、あの扉もそこにあったのかもしれない。けど、開け方まではわからなかった。そんな中、砂獣という脅威が現れて、次々に街は滅び、そして都市核も一緒に消えていった。そうこうしてる内に、環境は厳しくなっていき、人の領域はどんどんと少なくなっていく。人類は後手に回るしかなくなり、現状の滅びる一歩前……くらいまでになったんだろう。
けどそんな中、きっと教会だけは権力を守り続けて、そしてその裏でずっとあの扉の開け方を調べてたはずだ。なにせそれがあの教会の悲願なんだから。
そしてそれが分かったからこそ、今動き出したはず。奴らは全ての都市核を欲してる。なら、ぶつかるのは必至。近々必ず起こるであろう教会との全面戦争。それに備えつつ、アズバインバカラへとやってきた人たちの為に、新たな生活基盤も作らないといけないということで、とても皆があわただしい。
まあ私はゆっくりとそれを眺めてるだけなんだけどね。