なんということでしょう……人間が砂獣を生み出してしまったよ。しかもその現場を私は観てしまった。自分の中から化け物が出てくるって……一体どんな感じなんだろう。それをだした張本人は痛みのせいなのか、それとも精神的なショックなのか気絶してる。
そして出てきた砂獣はと言うと……しばらくその場でキシャーキシャーと言ってたけど、すぐに散開していったよ。どうやらすぐに行動できるくらいには成長してるみたいだね。お腹から出てきたけど、その姿はイシュリ君の頭に入ってたサソリに似通ってた。まあアレよりも小さかったけどね。
とりあえず生まれた砂獣もドローンに追ってもらおう。私は気絶しちゃったこの人を調べることにするよ。てかこの人がイシュリ君の頭に入ってたあの砂獣を生んだのなら、確かにこの人に反応があるはずだよ。
「でもこういうのって、化け物を生む代わりに生んだあとは死んじゃうようなイメージあるけど……」
なにせ化け物を生むんだよ? 普通は産めないでしょう。女の子の体は神秘だとしても、違う種族を生むようには出来てないと思う。それに化け物ってお腹を食い破って出てくるとかさ……定番じゃん。
まあさっきの砂獣はちゃんと産道を通ってきたみたいだけどね。でもあんな刺々しいやつが通ったら産道がぼろぼろになってそうだね。事実、彼女のお股のところは血が溢れてる。まあけど、死ぬほどではないね。そもそもが普通の出産でも出血くらい……するかもしれない。しらんけど。
「とりあえずはどういうふうになってるのか知りたいから――」
私は彼女をスキャンした。すると驚愕の事実を観てしまった。
「これは……ええ? なんてことを……」
なんか彼女……既に人間じゃない事実が判明した。なんか生命活動をしてない。G-01の生命反応を把握する反応では彼女は既に……死んでいる。けど不思議なことに息をして、そして血が通ってて、体温とかも検出できる。けど……どうやら彼女はもう死んでるらしい。
生命活動を一見この体はしてるように見えるし、パッと見は全然死人になんてみえないだろう。でも彼女、心臓とか一部の臓器がない。脳みそはあるけど……なんかおかしい。形が普通の形してない。誰もが想像するような脳みその形ではなくて、とても凸凹してる。
心臓が無いなら、どうやって体に血を巡らせてるのかというと、子宮にあるものがそれをやってるね。てかこの体を維持する全てをそれがやってる。
「うん……これって……都市核と同じものだね」
そうなのだ、なんとこの女性の子宮には都市核が2つあった。