uenoutaの日記

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十四話Part3

 力を使って遠視をしてる野々野足軽。そしてそこには衝撃の光景があった。
 
「あがああああああああああああああああ!!」
 
 そんな化け物の叫び声。そしてバゴオオオン! やらドガアアアアン!! とあの廃村の周囲でそんな音が轟いてた。これだけの田舎で、周囲には時々一軒の家が山の中にある……程度のド田舎だ。だからこそ、これだけの音がしてても、どうやら気づいてる人はいないみたいだ。きっとこんなド田舎のあんな辺鄙な所の家にはお年寄りしか住んでないだろう。
 だからこそ、きっとこんな音がしてても家の中にいたら聞こえてないのかもしれない。実際はちゃんと耳を澄ませば、足軽の耳にもその音は届いていた。でもやっぱり遠視した先で見るほどの衝撃はない。おじいちゃんの家で聞こえる程度なら、どこかで工事でもしてるのかな? くらいの音になってる。だからきっと誰もこの音を化け物が争ってる音……とは思わないだろう。
 足軽はあのサルのような見た目の何か……は足軽を監視してたから、まだそれをやってたら、足軽の方から軽く挨拶でもして上下関係をはっきりさせるのも悪くない……とか思ってた。なにせさっきまで逃げに徹してたのは、幾代や小頭がいたからだ。今なら姿を消したとしても言い訳は何とでもできる。だから守る必要がない時に攻めに転じるのは戦略上重要なことだと思ってた。
 けどどうやらあの何かは、別の存在と戦ってるようだ。それは足軽達も見たあのこけしのような黒い靄。けど足軽達が見たときはただゆらゆらと揺れてる別段そんな強そうもでもない、ただ不気味な存在だった。でも今はどうだ? 別に今も強そうかと言われたら首をひねるが、何やらそれは大きくなってた。まるで村にいたあのこけしたちが集合して合体したかのような……そんな大きさになってる。
 そしてその黒い靄の体から、次々と棘のようなものを射出してるみたいだ。それは別にあのサルのような化け物がいる方だけに攻撃をしてるわけじゃない。全方位に向かってそれを出してる。なんと傍迷惑な……とか観戦してる足軽は思った。けど……確かに激しい戦いの音は聞こえてくる。けど……
 
(ん? 今、貫かれたはずの鳥が……なんの影響もうけてない?)
 
 よく見てるとそんなことがあった。だってあの大きくなったこけしは周囲に攻撃をばらまいてる。当然だけど、野生動物とかだってその被害を受けてしまう。でも……どうやらあの攻撃は動物には影響を与えないらしい。確かに衝撃として木々は揺れたりしてるから、影響を受けてる存在もあるんだとおもうんだが……どういう原理かはわからないが、動物たちは無事だ。
 
 でも確実にお互いにはダメージを与える事が出来てるみたいだ。だってサルのような化け物はその棘を一生懸命避けてるし、強引に近づいてはその腕を振るって、こけしの体の靄を削り取っていく。たしかにその時は穴が空く。けどすぐにその欠けた部分は戻っていく。あれはダメージとして蓄積されてるのか……こけしには目のようなところは見えても、そこから感情を推し量ることはできないから足軽にはわからなかった。