uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)運命という世界線を壊せ 1

『ジャルバジャルの終わりじゃ……』
 
 どっかの老人がそんな事を呟いた。その人は白い布をただ巻き付けた様な服を着たガリガリの骨張った老人だ。浅黒い肌に、骨と皮だけのようで、目元は窪み、唇はカサカサだった。周囲は砂に囲まれていて、そこかしこに白い何かが砂から顔をだしていた。
 それが建物で、ここがかつて繁栄してた街だと知ってるのはもうこの老人だけだ。この街の名は『ジャルバジャル』砂の上に繁栄した街だった。でもそれも今や砂の中。この世界は地面から盛り上がってる砂に押し上げられて、空に輝く太陽へと近付いて行ってる時限付きの世界だった。砂に押し上げられて、地面が太陽へと達し、空と地面の境目がなくなると共に、この世界は滅びしてしまう。そんな世界。
 
 この世界に生きる人達は砂との戦いだった。隆起する砂を止めるべく試行錯誤を繰り返してきた。そしてこの世界には『砂獣』と呼ばれる化け物がいた。それは砂の中から現れては砂上の人の生活圏を蹂躙していく。だけど、その砂獣こそが、この世界の砂を盛り上げてるのではないかという論争があった。そして実際に、砂獣を討伐する事で僅かに砂の推移を下げる事が出来るともわかってる。
 
 だが砂獣は普段砂の中に居る……というわけでもない。奴らは死すと砂になる。つまりは砂獣は砂の中で生活してる生物ではなく、砂上の生物を殺す為に作られる砂の化身なのだ。奴らの発生は待つしか出来ず、発生しても、その数に対応できなければ、このジャルバジャルの様に圧倒されて砂に埋め尽くされて壊滅する。この老人こそが、ジャルバジャル最後の生き残りだった。
 
 なんで老人だけ残ったのかはわからない。ジャルバジャルの惨状に目を伏せて丸くなってたから、砂獣が死んだ奴と勘違いしたのかもしれない。
 
「う……あ……」
 
 ザシュザシュと砂に脚を埋めながら変な声を出して歩く。街が埋まった分、太陽に近くなり日差しが強い。喉はカラカラで、肌から出る汗も既にない。自分も死ぬのだろうと老人は思った。それは日差しか砂獣かの違いでしかない。そしてその時はやってくる。モコモコと砂が盛り上がり、それは圧倒いう間に老人の背丈を超えた。黒光りする体は堅そうで、口には大きな牙がある。そして六本脚の脚は体を支えるにはあまりも細くて気持ち悪い。砂獣だった。
 
「あっ……ああああああああ!」
 
 背後にむかって走り出すが、直ぐに砂に脚を取られて、その場に倒れ込む。そこに砂獣が背中に脚を乗せて押しつけて来た。それだけで老人の皮と骨だけの体は砕かれそうだ。だが絶妙に苦しみだけを与え続け、その大きな牙を頭へと近づける。頭をかみ砕く気なのだ。
 老人の耳に砂獣の牙が合わさりあうガチンガチンという音が鼓膜から脳に響いてきこえた。意識を手放した方が楽だろうに、老人はそれでも意識を手放す事はなかった。だけどその時だ。空から一本の輝く剣が降ってきた、砂獣の頭を吹き飛ばした。そして続いて、小さな二人と大きな一人が、空からこの地に降り立った。老人は天の遣いだと彼等を拝んだ。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 82

 二人が輪廻の輪の外へと出てしまった。それがどういう事かと言うと、そもそも彼等の魂をアビスの瞳へといれた時点で其れは起こりえる事だったらしい。
 
『輪廻を外れるのは大罪です』
 
 そんなAIの脅しがあったが、既に起こってしまったことはどうしようもないじゃん? それともG-01なら時間逆行でも出来るの? それが出来るなら、あの時の私に未来からのメッセージが来てないとおかしい。それでもまあ、結局はああしたと思う。だって選択肢なかったし。
 
『肉体が朽ちた魂は記憶と経験を持って世界へと帰り礎になります。そして大きな力に戻り、再び世界を構築する一部になる。それが輪廻です』
 
 これもAIの言葉だ。その大きな力に戻ってしまったら、そこには既に個は存在してないらしい。まさに大きな力そのものに一体化されるらしい。まあ普通は生まれ変わったら記憶とかないもんねって昔の記憶を引っ張り出して考える。
 
 でもアビスの瞳にいれた段階ではギリギリまだ輪廻の枠組みには居たらしい。アビスの瞳とは相性悪かったし、一度の反旗くらいは見逃してくれるくらいは大きな力というか、そんな超常の存在は器が大きいらしい。まあ実際は一度輪廻に近付いた魂が再び肉体を得ても、まともでないからってのが大きそうだと思う。
 
 今回は私の助けがあったから二人も最終的には肉体を得れた。それもかなり強力な奴を。けど最初にいれたのはアビスの瞳な訳で、あれのままだと直ぐに輪廻に帰ることなったのは必然だ。だから輪廻も受け入れる準備はしてたんだろう。
 
 でも二人はヴァイスへと魂を移して、そこでこの世界と繋がり、サンクチュアリを見つけた。私的にもサンクチュアリがなんなのかはわからないし、二人もよくわかってない。けど、AIがいうにはサンクチュアリというのは、世界における力の収束点みたいなものらしい。どうしてそんなのが生物に出来るのかって疑問はある。ふつうはそういうのは特殊な場所とかにあるんじゃないの? 
 まあ考えても世界なんて仕組みの裏側なんてわからないんだけどね。魂が肉体を何度も移る事を輪廻はよろしくおもってない。
 一度も許しても二度目はなく、そして完全に定着して復活した二人は完全に輪廻のシステムから切り離された存在になった……ということらしい。
 
「それって何かデメリットあるの?」
『魂の帰る場所がないと言うことです。死んだらそれまで、輪廻転生はあり得ません。死と共にあるのは消滅だけとなりました』
 
 とりあえずそれを二人には伝えてみたけど、二人とも後悔はないみたいだった。まあ死んだ後の事なんか気にしないよね。ならよかったよかった。私は何も間違ってない! 
 
 てなわけで、二人のサンクチュアリを使って力を集めてAIの指示を受け取って私が二人に指示して、世界を超える扉を作った。この世界は平和そのものだからね。これ以上とどまる必要性はないらしい。別の世界の別のサンクチュアリを見つけましょう――と言うことだ。
 
 だから私達は世界を超える。再びね。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 81

 夜が終わりを告げる。空からある一つの物体が落ちてきて。それによって世界に光がもたらされるんだ。不思議な夜明け。けどこれを見るのをこれで数日目である。空から落ちててくる光によって、この世界のあらゆる物は目を覚ます。
 花は開き、茎を少しでも伸ばして一番光を浴びようとどれもしてる。流水は朝日を浴びてキラキラと輝き、空も青さを取り戻す。そして所々でポニが見られる様になった。私達がこの世界に来て駆け回ってた時は、木の集合体くらいでしかみえなかったポニがそこらに時々現れる。どうやらポニは穏やかな時に現れる的な? 今はもうギラギラしてないからね。
 
 この世界は今や魔王と勇者の物だ。けど二人ともそこら辺は興味ないみたい。いや、勇者はわかるけど、魔王は……ね。世界征服したんだよ? 念願の。それなのに興味ないってどういう事さ。それを聞いて見たら……
 
「こんな従わせる者も居ない世界など……」
 
 って事らしい。全くわがままな奴だ。てかポニは居るじゃん。でもポニは従わせるとかじゃないからね。なんか神出鬼没だし、この世界にいるけど、根付いて生活してる訳じゃない。だから魔王的には支配する奴には当たらないみたいだ。
 
「ふう……」
 
 顔を向けて、G-01の視界を川の方へと向ける。そして必死に拡大する。すると朝の水浴びをしてる勇者が見える。
 
「やっぱり良い体してるね」
『覗き、盗撮ですよ』
「そんな法律はない」
 
 なんとなくなんだけど、ああいう逞しい体を見ると、ドキドキしちゃう。やっぱり私が女の子だからだろうか? 勇者の奴は綺麗な体してるよ。ニマニマしながら勇者の水浴びを眺めてると、AIの奴が余計な事をしてくる。
 
『しょうが無いですね。肉体が好きならどうぜ思う存分に』
 
 そういってAIがG-01のカメラに干渉しやがった。人間だった頃の肉体に見えてたのに、今やマネキンが水浴びしてる。ダメじゃん、アレじゃあ、ぐひひってできない。
 
「ちょっと余計な事をしないでよ」
『よこしまな気持ちを持つからです』
「ポーニ」
 
 ポニ子までなんかいってくる。ポニ子は味方だと思ってたのに。魔王も勇者もあれから経緯を説明して、そしてその力の制御に今日まで費やしてきた。本当は直ぐにでも世界を渡りたいんだけどね。ても私のダメージが酷かったから、私の回復待ちでこの世界の調整とか生まれ変わった体を確かめるとかやってるのだ。
 
 そしてその過程で、二人はかつての体を取り戻した。私に掛かれば、もとの姿を樺することは出来るが、実際は無理だろう。なにせ体を作り替えてサイズも変えてるからね。今の本来の勇者と魔王は人サイズよりもかなりでかい。最初は自分の変化に戸惑った二人だったが、今は本来の姿も取り戻して、二人とも前向きに前を見てる。そして――
 
『修繕率100パーセントです』
 
 ――私も完全復活して、もうここには用はない。二人を輪廻の外へと出してしまったみたいなんだけど、それで力が手に入った。だから二人ともそのことを受け入れてくれた。それに何よりも、私達は強い絆で結ばれたのだ。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 80

「くくっ我の支配下になれる事を光栄に思うがいい!」
「それで一体どうしたら良いんですかジゼロワン殿」
 
 魔王は姿は変わっても相変わらずだ。勇者もやっぱちゃんとしてる。けど、姿変わってるからどこか違和感がある。なんかいちいちビクッとするというか……目玉よりはインパクトないけどさ、あれは動かなかったしね。とりあえず二人の外見とかは後回しみたいだから、この世界の崩壊をとめよう。
 
(どうしたら良いわけ?)
『二人はサンクチュアリを保持しています。それならば、世界の軸に干渉できる筈です』
(ふむ……)
「貴方たち二人は世界の軸を感じれる筈です」
 
 私はなるべく偉大そうに二人にそう伝える。
 
「軸? ですか」
「何だそれは?」
 
 まあそうなるよね。けど詳しい事は私も知らないし……感じれるって言ってるんだからとりあえずやってみろや――と言いたい。まあいうけど。
 
「考えるより……も感じなさい。さあ!」
「そうですね。今は素早くこの世界を救うのが道理。この悲しみを一刻も早くなくなさいと」
 
 流石は勇者は言うことまじ勇者。魔王も見習えと言いたい。そんな魔王はグチグチもんくいってる。
 
「そんな曖昧な事で世界にとどめを刺したらどうする? 貴様も実はよくわかってないのではないか?」
(ギクゥゥゥゥ!)
 
 魔王の癖に鋭いこと言ってんじゃないよ。心臓に悪いだろ。私はごまかす為に魔王に強く言う。
 
「そんな……訳ないでしょう。さあ、やりなさい。集中するのです」
「怪しいぞきさ――ぐ!? こ……これは……」
 
 なんだ? 魔王の奴が何やらブルブルと震えてる。自分の中の力が暴走とか止めてよね。そんな中二病的な展開、今は求めてないから。
 
「体が勝手に……」
「?」
 
 なんかよくわからないが、二人とも集中しだした。よいよい。
 
(これからどうしたらいいの?)
『後は二人次第でしょう。軸から世界の綻びを感じ、そこを力で繋げれば崩壊は止まる筈です』
(わかった)
 
 周囲を見ると、木の集合体はボロボロで葉も落ちきってる。この木の集合体がそんな状態だからか、下の森とかもハゲてる。いつの間にか、地面には大きな亀裂が出来てて、深淵がなんか顔を出してる。そしてヴァイスの光がなくなったからなのか、アビスが地上を這いずり回ってるみたいだった。あれ……全部したんだのかと思ってたが、まだまだ居たらしい。
 てかアビスってなんなんだろうか? 世界が崩壊してるのに普通に居るよ。他の命はなんか無くなっているのに……あれは命とかじゃない? わからない。
 
「軸から世界の綻びがわかる筈です。さあ……そこを二人の力で繋ぐのです」
「やるぞ魔王!」
「ふん、我に命令するな勇者!」
 
 どうやら二人は軸をちゃんと感じれてるようだ。二人の体が次第に光り出す。そして魔王が下に、勇者が上に空いてる手を向ける。すると大きな魔方陣が姿を現した。それは淡い光を大地に……いや世界に染み渡らせる。するとその光が届いた所からポニが湧き出した。
 どんどんとポニの数は増えていく。そしてポニは大合唱を始める。すると最初のヴァイスが生まれる。世界に光が降り注ぐ。するとアビス達は慌てるように深淵と共に世界の底へと戻っていく。地上には緑と水が戻り出す。
 
『丁度良い。この力を少し拝借して修復を進めましょう』
「そうだね」
 
 それはいい。こっちもそろそろ限界なんだよね。全身が痛いもん。綺麗な世界は素晴らしいけど、綺麗な体に私は戻りたいよ。健康が最高だねって私は思ってた。この日、二人は世界は救い、この世界は新たな始まりを迎えたのだ。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 79

 勇者と魔王が覚醒したが、二人は自分の姿にショックを受けてるようだ。まあ前の姿と比べるとあまりにものっぺらというか、なんというかだからね。てか二人はどうやって見てるのだろうか? こっちから見てると、マジでなんか堅そうな体のマネキンって感じで、眼球とかみえないけど。
 
「私……なにか失敗した?」
 
 ちゃんとイメージを送ったはずなんだけどね。別にちょっと不細工にしてやろうとか思わなかった。私としては珍しく純粋な二人の記憶を伝えた筈だ。それであれって……実は私は二人の事をちゃんと見てなかったのだろうか? いやいや、私それほどアホじゃないはずだ。寧ろ天才だと思ってる。なら一体何が原因でこんな哀れな事に? 自分ではわからないからとりあえずAIに聞く。
 
『失敗ではないでしょう。ベースとなる体は完成しています。色も彼等の力の特色が出てるのでしょう』
「じゃあ……別に失敗ではない?」
 
 そもそもがこっちはボロボロなのに、やけに魔王と勇者は肌つやがいい。テッカテカである。いや復活した直後からボロボロなんかやだけどね。だからいいんだけど……うらやましくもある。てか別に体なんてどうでも良くない? 今はマネキンみたいだと言っても人型だよ? さっきまでアビスの目玉だったんだから、めっちゃ恵まれてるじゃん。
 いや、その状態の事、二人はしらないだろうけど! 
 
「一体何でこんな……」
「だが……不思議と力が沸いてくるぞ……」
 
 二人は混乱してる。まあ記憶とかどうなってるのかわからないし当然と言えば当然だろう。けど私の事はなかなか丁重に扱ってくれてる。でも色々と周囲の事もあるし……二人にはしっかりして貰わないと……自分がこんな状態だしなおさらだ。
 
『今はこの世界が不安定なのも原因かもしれません。崩壊が進んでいます。救えるとしたら、この世界のサンクチュアリを保持してる二人でしょう』
「確かに……世界が大変だと、ゆっくりする事も出来ないしね……」
 
 私はそういって、二人に伝える事にするよ。
 
「今はそんな事よりも……世界のことを助けて……二人なら出来る筈。その力はこの世界に認められた……証だから」
「認められた……」
「証……」
 
 二人が私の言葉を復唱する。口がないのに声だけ聞こえて来て、考えると不気味だ。二人とも単純だし、其れっぽいことを言えばどうにか……とか考えたけど、流石にそこまでアホじゃないか?
 
「確かにこの世界は泣いている」
「ふん、助けるなんてことはしない。何故なら我は魔王。救わず、支配する! その為にもあり続けて貰わないと困るだけだ!」
 
 だから魔王はツンデレか? それに勇者は流石にイケメン補正がなくなってるから、歯が浮くような台詞が痛いぞ。でもどうやらヤル気にはなったみたい。どっちも単純でよかった。

スタプリ映画買った!! 

 映画館では見れなかったから買いました。評判良かったから気になってたんですよね。七千円は高いけど、きっとそれだけの内容なんだと思って……まあ深夜アニメと違ってオーディオコメンタリーとかないですけどね。でも星座ドレスのカードと中に入ってる紙はちっちゃい画集的な感じで良かったです

 内容は満足できるものでしたね。そもそも自分はしばらくプリキュアから離れてて、ハグぷりの途中で戻ってきたんですよね。でもハグぷりは最後まで見れなかったです。なんか途中で見るの止めてしまって。でもスタプリは一年間完走出てきました。

 毎週毎週楽しみにしてみれたプリキュアってとても貴重です。一年あるからいつの間にか見なくなっちゃうんですよね。だから一年間楽しみをくれたお布施の意味もありますね。

 内容としては星の子供と出会って世界を見て、通じ合って、そして悪者からその子を守る――王道です。でも全編通して凄く絵が綺麗で、そして今回のテーマの『うた』が響いてくる作品でした。この映画は五人の内二人に焦点を絞ってます。メインとなるひかるとララは惚れ直すくらいに可愛く描写されてます。

 自分はテレビからひかるちゃんが一番でしたけど、この映画を観たら、ララが一番人気の理由がわかります。もう、めっちゃ可愛いです。アクション面も流石映画って感じでヌルヌル動きますね。でも今回敵役の奴らにちょっと物足りなさはありますね。まあそこが焦点じゃないからしょうがないですけどね。

 あとミラクルライト……プリキュア映画で姿形を変えて毎回登場するそれを上手く使ってたなーともおもいました。いつも突如出てきて応援するアイテム感があったけど、今回の作品はミラクルライトはキーアイテムです。だから違和感ないです。

 総じてこの映画はとても良い映画だと思います。ララとユーマの心の繋がりと成長とか背景の描写、うたの力とかが伝わって来るほどに全てが丁寧に出来てます。敵役のキャラデザは適当感ありますけどそれは愛嬌ですね。

 自分はプロジェクターで百インチくらいで観てるので映画館とほぼ遜色ないですね。最高でした。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 78

 二人を力の限り殴った時、ボロボロだった腕が砕けた。走る傷みに歯を食いしばる。何故なら、これだけじゃダメみたいだからだ。
 
『通してください。二人に貴方の中にある姿を力を通して送るんです。二人はそれできっと自分の姿を形作れるでしょう』
「んーーーーーー!!」
 
 私は必死につなげた力を通して自分が知ってる二人の事を流し込む。私は二人をしってる。なにせ過去を見た。二人がそれを魂だけになって無くしてたとしても、私が再び与えてあげる!! だから勇者と魔王として、戻って来なさいよ!!
 
 曖昧だった二人の姿が固定されて行くのが見える……けどこっちも限界だ。リンクが切れて、私は内部の空間、自分の肉体へと精神が戻る。既に治療は始まってるのか、両手共に沢山のアームが伸びてきてた。
 
(力がはいらないよ……)
 
 G-01が落ちて行ってるのがわかる。
 
「ポニポニ! ポーポー!!」
 
 ポニ子がなにか言ってる。するとなんかちょっと暖かくなった。どうやらポニ子は私を覆う様に包み込んでくれてるみたい。もしかしたら傷の回復も早くなるのかな? でもそれよりも地面にぶつかる方がきっと早いだろう。ちょうど水のなかに落ちるなんて都合のいい展開はきっと無い。
 
 どうにかしたいけど、その力がない。
 
『世界が均衡を保てなくなっています。このままではこの世界は……』
 
 そんなAIの言葉もどこか遠い。どうやら私は頑張り過ぎたみたいだ。頑張って助けたんだから、早く助けに来なさいよ。そんな事を思ってると五月蠅い声が聞こえてたきた。
 
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
 
 次の瞬間、体が強引に持ち上げられる感覚に「うっ……」とお腹の中がひっくり返りそうになった。ちょっと女の子なんだからもっと優しく扱いなさいよ――とかおもったけど、そういえば二人とも私の姿はしらない。彼等にとってはG-01は見た目通りのごつい機械なんだ。ならこの扱いも文句はいえないかもしれない。
 
「ジゼロワン殿!!」
「勝手に死んでんじゃねえ!!」
 
 二人はG-01の機体を支えて肩の所をそれぞれ抱えてくれてる。モニターに映る二人の姿……それはなんか……いやとっても今までと違う。てかでかくなってるし……白いマネキンみたいなのと、黒いマネキンみたいなのがG-01を支えてる。
 
「なに……あれ?」
 
 私はちゃんと二人の記憶を送った筈だ。なのに復活したらあんな姿って……出来悪すぎじゃない? サイズから間違ってるよ? 
 
「おい……貴様勇者か?」
「そういう君こそ、魔王か?」
 
 どうやら今、二人とも自分たちの姿に気付いたらしい。
 
「「ど、どうなってるんだ!?」」
 
 ハモる二人の声。うーん、どうしたもんかこれ……