「くくっ我の支配下になれる事を光栄に思うがいい!」
「それで一体どうしたら良いんですかジゼロワン殿」
魔王は姿は変わっても相変わらずだ。勇者もやっぱちゃんとしてる。けど、姿変わってるからどこか違和感がある。なんかいちいちビクッとするというか……目玉よりはインパクトないけどさ、あれは動かなかったしね。とりあえず二人の外見とかは後回しみたいだから、この世界の崩壊をとめよう。
(どうしたら良いわけ?)
『二人はサンクチュアリを保持しています。それならば、世界の軸に干渉できる筈です』
(ふむ……)
「貴方たち二人は世界の軸を感じれる筈です」
私はなるべく偉大そうに二人にそう伝える。
「軸? ですか」
「何だそれは?」
まあそうなるよね。けど詳しい事は私も知らないし……感じれるって言ってるんだからとりあえずやってみろや――と言いたい。まあいうけど。
「考えるより……も感じなさい。さあ!」
「そうですね。今は素早くこの世界を救うのが道理。この悲しみを一刻も早くなくなさいと」
流石は勇者は言うことまじ勇者。魔王も見習えと言いたい。そんな魔王はグチグチもんくいってる。
「そんな曖昧な事で世界にとどめを刺したらどうする? 貴様も実はよくわかってないのではないか?」
(ギクゥゥゥゥ!)
魔王の癖に鋭いこと言ってんじゃないよ。心臓に悪いだろ。私はごまかす為に魔王に強く言う。
「そんな……訳ないでしょう。さあ、やりなさい。集中するのです」
「怪しいぞきさ――ぐ!? こ……これは……」
なんだ? 魔王の奴が何やらブルブルと震えてる。自分の中の力が暴走とか止めてよね。そんな中二病的な展開、今は求めてないから。
「体が勝手に……」
「?」
なんかよくわからないが、二人とも集中しだした。よいよい。
(これからどうしたらいいの?)
『後は二人次第でしょう。軸から世界の綻びを感じ、そこを力で繋げれば崩壊は止まる筈です』
(わかった)
周囲を見ると、木の集合体はボロボロで葉も落ちきってる。この木の集合体がそんな状態だからか、下の森とかもハゲてる。いつの間にか、地面には大きな亀裂が出来てて、深淵がなんか顔を出してる。そしてヴァイスの光がなくなったからなのか、アビスが地上を這いずり回ってるみたいだった。あれ……全部したんだのかと思ってたが、まだまだ居たらしい。
てかアビスってなんなんだろうか? 世界が崩壊してるのに普通に居るよ。他の命はなんか無くなっているのに……あれは命とかじゃない? わからない。
「軸から世界の綻びがわかる筈です。さあ……そこを二人の力で繋ぐのです」
「やるぞ魔王!」
「ふん、我に命令するな勇者!」
どうやら二人は軸をちゃんと感じれてるようだ。二人の体が次第に光り出す。そして魔王が下に、勇者が上に空いてる手を向ける。すると大きな魔方陣が姿を現した。それは淡い光を大地に……いや世界に染み渡らせる。するとその光が届いた所からポニが湧き出した。
どんどんとポニの数は増えていく。そしてポニは大合唱を始める。すると最初のヴァイスが生まれる。世界に光が降り注ぐ。するとアビス達は慌てるように深淵と共に世界の底へと戻っていく。地上には緑と水が戻り出す。
『丁度良い。この力を少し拝借して修復を進めましょう』
「そうだね」
それはいい。こっちもそろそろ限界なんだよね。全身が痛いもん。綺麗な世界は素晴らしいけど、綺麗な体に私は戻りたいよ。健康が最高だねって私は思ってた。この日、二人は世界は救い、この世界は新たな始まりを迎えたのだ。