俺達は出された椅子に座った。一段高い場所にペニーニャイアンが居て、その下に俺達がいる……みたいな感じだ。中央の透明なテーブルには凝った作りのお菓子がある。でも飲み物はペニーニャイアンさんの一個しかなかったから、彼女がその扇子をテーブルにさっとなぐと、なぜか温かい飲み物が入ったティーカップが3つ出てきた。
(魔法……)
ごく自然にペニーニャイアンは魔法を今使った。もしかしたら、この建物を支配してる力の方なのかもしれないが……中央以外では魔法なんてそうそう見れない。でもなんか中央では色々とよく見る気がする。
「どうぞ」
更に、現れたカップは自動で動いて俺達の元まできた。
「わーい、ありがとペーニャ」
そう言ってピローネが早速口をつける。ふーふーしてゴクゴク……ゴクゴク……更にゴクゴク。ええーめっちゃあの娘飲む。そして一気に飲み干した。早い! そこまで喉が乾いてたのだろうか? てか空になったらどうするのだろうか?
「ペーニャ」
そう言ってピローネはカップをペニーニャイアンさんへと差し出す。すると、ため息を付いてこういうよ。
「自分で出しなさい。そのペースで呑まれたら面倒でしょ」
「はーい」
「さらさらー」
でもあれは、指の先とか、魔法陣の先から出てきたはずだ。でも……今のピローネのそれはそんな感じではなかった。魔法陣もなかったし……ただカップの底からお茶が湧き出てきた。実は俺にも出来たり……とか思って自分に出されたお茶をみる。
でも下手に飲んでいいのか……迷う。もしかしたら毒なんでは? こんな犯人が目の前にいるのに疑われるような事をするか? とも思うが、中央では常識なんて通じないだろう。だからペニーニャイアンが白を切らせば、多分そうなる。それなら、下手な細工なんて必要なく、ただ毒を盛るという安易行動も有り得そうな気がする。
それはきっとローワイヤさんも懸念してて、だからさっきから、手をつけずにいる。
「あら、どうしたのかしらローワイヤ? 貴女の好きなお茶よ?」
「そうだよ。とっても美味しいよ」
なんかやけに呑ませようとしてくるのもなんか引っかかる……がそれは流石に穿ち過ぎなのかもしれない。でも何がなんでも呑ませたいって意図も……
とりあえずどうにかした方が精神的にいい。けど直接触れるなんて事は出来ない。さて……どうする。