「げっ、何あれ……」
両腕を広げて脚はなるべく重ねるようにして、そしてブースターをふかして滑空してると、長い長い砂埃が見えてきた。私はまさに英語のTの様な格好で滑空してるわけだけど、眼下に見える光景に辟易しちゃうよ。
「確かに勇者は千は居るって言ってたけど……」
実際見ちゃうとヤバいね。私は勇者が大げさに報告してるだけだと思ってたよ。だって実際数って大体大げさに報告される物じゃん。ピンチなら尚更だよ。敵が強大に見える――ってのは往々にしてあることだ。
だからまあ数百くらいかな? って期待してた。いやいや、悪い方に期待裏切ってるよ。
「丁度上空に居るし、G-01でその数を数えてみようかな?」
私はそんなことを言って視界に入ってる砂獣達をスキャンする。するとその瞬間モニターが赤い枠で埋まったよ。いやいや優秀だね。なにせ砂埃でかなり視界悪い……というか私には見えてない。一応一番前で一生懸命逃げてる勇者達は見えてるけどね。多分まだ勇者達は私に気づいてない。
一応勇者がしんがりを努めて聖剣で上手く対応してる。
「早速勇者は聖剣の形を変えてるね」
見てるとどうやら勇者は自身で今までの形の聖剣を持ち、更に複数の刃を操って大量の敵に対応してるみたいだ。いままでの勇者なら、それこそ大出力の攻撃をし続ける……とかをやりそうな物だけど、流石にそれではエネルギーが持たないのかもしれない。一応勇者はこの世界の力を返還出来るようになって……
(あれ? その存在が反乱を起こしたんだよね? なら今は返還は出来ない?)
それだとピンチだね。でもそれなら別れるときに言ってたと思う。ただ新しく出てきた可能性をきっと試してるだけだと思おう。
「ふむ……めっちゃ居るじゃん」
スキャンが終わって表示された砂獣の数は、なんと2063だった。おかしい……千ですらないじゃん。二千超えてますよ。てか――
「減ってないよこれ……」
現在進行形で勇者がズタズタとぶっ殺してるはずなのに、G-01でスキャンした数は減らない。むしろ増えてる。勇者が減らした側から補充というかなんというか湧き出てるのかね? そうとしか思えない。とりあえず……
「現状やばいんだからわがまま言ってないでおすすめの武器を教えなさいよ」
『しょうがないですね。今回だけですよ。普段からちゃんとアップグレードの指針をつけておくのも大切と言うことです』
どうやらAIは私の怠慢に対して不満らしい。私としては頑張ってるんだよ!! だってG-01の基本的なところもわかってないのに、更に発展系まで見とけって……無理じゃないそれ? けど小言を言いつつもAIはおすすめの武器を今回は出してくれた。流石にあの数はヤバいと思ったのかもしれない。
さてさて、どんな派手に殲滅出来る武器かな?