「ふう……」
私はそう言って宵が終わるのを待つ。なんか……ね。最近はとても宵が良い狩り場だって事に気づいたよ。なにせG-01をアップグレードするのにこれだけ良い場所は無い。勇者と魔王はお互いで訓練とかが出来てたわけだけどさ……私はそんなことは無理だった。なにせG-01に釣り合う……と言うか同等以上の相手ってなかなか居ないからだ。それに下手にG-01の大きさで暴れると、影響がね。色々とその地形に対する影響がでかすぎて思いっきり動けないってのがあった。
でも宵ならそこら辺全く気にする必要ない。だって……既に世界は崩壊してるのだ。そして宵が終われば再構成される。なら何も気にする必要なんて無い。これはとても大きい。そして宵に出てくる鬼達。一回私が暴れたせいでそれ以降どうしてくるか? って思ってたんだけどね。でもどうやら積極的に襲ってくるって訳では無かった。だから上手く立ち回れば、鬼に個人勝負を挑むことが出来る。
個人勝負でも絶対に安全か……と言われればそうでは無い。けど、そのハラハラドキドキ感が……別に良くはない。私は戦闘が大好きな魔王の奴とは違う。けど勇者とかを使う練習になって良いよね。
私は思ってた。G-01の最終兵器である剣は勇者と魔王が合わさった剣だった。でも今はもう、魔王はいない。じゃあどうなるのってね? 一応それぞれで剣になれるんだけど、最終兵器は二人が合わさった状態だった。それで空獣を退けたわけだしね。それがないのはなかなかに困るなぁって思ってる。
でもどうやらそれもアップグレードされてたらしい。思ってたけど、魔王の後釜にはアイが付いてるから、勇者とアイで合体できた。なんか卑猥に聞えそうだけど、別に卑猥な事なんてのは全くない。
なんか魔王と勇者の状態とは形態が変わってたけど、そもそもがボディが魔王とアイでは違うからね。そうなるのもなんだろう。
空獣さえも押し返すその状態を下手に普通の状態の世界で撃ったら、どれだけの被害が出るのか……それが怖くてなかなか二人を合わせる――なんて事は出来なかったわけだけど、でも宵なら思いっきりぶっ放せるんだよね。
いやまあ思いっきりでは無いけどね。厳密に言えば。流石の宵でもその状態のG-01の力を放つとヤバそうではある。でも今まで出来なかった、二人が合わさった剣で戦うって事が出来るのが大きい。最終兵器なのに、一発ぶっ放す……しかしてなかったわけで、それって全然使いこなしてないじゃん。
それを最終兵器って呼ぶのはいかがな物かと……でも何回も宵を経ることでその剣の使い方も正確な性能も把握できてきた。それに宵の度に鬼の角を回収してエネルギーを確保してるからね。なんという効率的なレベリングだろうって思ってる。でも最近困ってる。
「むむむ、やっぱりだんだん私を見ると逃げるようになってる。鬼ともあろう存在が情けない」
そうなのだ。なんと最近は鬼が逃げ出した。これじゃあレベリングの効率が激落ちだよ! と私はプンプンだよ。