「凄い!! 凄いぞこの武器!!」
興奮したように男性がそういう。そしてさっきのへっぴり腰の姿を見てるから、周囲のここに避難してた人達も、その武器の凄さを少しは実感できただろう。
「これなら……この武器なら俺たちでも戦えるぞ!!」
そう言って彼は剣を掲げる。たまたま一体を倒しただけなんだが……けどそれで自信をつけて、更に周囲を巻き込むのは私の狙い通りなわけでいい感じだ。
「ほ……本当にお前が倒したんだよな?」
「見てなかったのかよ? そりゃあ俺も信じられないが、でもほとんど抵抗なんてなかったんだ。これなら砂獣なんて怖くねーよ!!」
「そんなに凄い武器……なのか」
彼の言葉を聴いて、主に男性たちが武器に近づいていく。そして各々、手近にあった武器を取る。
「これがあれば俺たちだって……」
「ああ、俺たちがこの街を護るんだ!!」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
その武器を手にとっても、不安な人達は多いだろう。けど、そんな不安を打ち消すために、武器を手に取った人達は声を出す。そして砂獣が開けた穴から外に向かった。
(よしよし)
私はとりあえずうまくことが運んでることに安堵するよ。でもここで外にいる大量の砂獣を見たら心が折れる可能性がある。適度な数を勇者には彼らに導いてもらいたい。まずは片手で収まる程度の数を何体かよこしてもらって、最初はこっちに数の有利をもたせた方がいいだろうね。
そうして慣れてきたら、こっちが人数不利になっても自信があればなんとかなるはず。それまでは介護的に戦闘に慣らす必要があると思う。
「君達……」
「おいおい、あんたら何へたり込んでるんだよ? まあいいや……俺たちがアンタたちの代わりに戦ってやるよ」
「辞めるんだ! 砂獣は君達が考えてるよりも強力な……え?」
砂獣が数体やってきた、それにただ何も考えずに特攻を仕掛けていく市民の男性たち。そこには技術なんてものはない。きっとこの教会の建物の前でへたり込んでる心が折れた軍の人達は「終わった」とでも思っただろう。
けどそうはならなかった。彼らはあっという間に向かってきた数体の砂獣を倒してしまった。
「やれる!!」
「俺達だって戦えるぞ!!」
初めての戦果を上げた彼らは歓喜に震えてる。そして一方の心が折れた軍の人達はポカーンとしてた。