「「ネナン……」」
三人はしばらくは涙で何かを話せる状態ではなかった。なかなかに時間がもったいないが……ここで私が口出せるか？ といえば、そんな訳はない。私は部外者だ。部外者はただ黙って成り行きを見守るだけ。
一分くらいは抱き合ってただろうか？ ネナンちゃんには時間制限とかわかんないだろうが、実はタイマー的な物は私が作った肉体に宿った両親側には見えてるはずだ。視界の端の方にタイマーが減っていくのが見えるようになってる。ちなみに私からも、そのタイマーは見える。
こうやって見てると「いつまで泣いてるの？」と私は思ってたよ。はっきりいうとハラハラからちょっとイライラ……とは言わないまでも心配はするよね。実際タイマー伸ばす……位は簡単にできる。なにせ私が作った体である。その崩壊を操るなんてのは余裕である。
でもそれってね……一回やると彼らに余裕を与えそうな……そもそもが彼らはタイマーの事気づいてるのだろうか？ 何も説明とかしてないんだよね。不親切だったかな？
「両親だけに聞こえるように通信を繋げようかな？ あーあー」
もしかしたら気付いてない可能性がある。このままでは泣いたままでタイムアップなんて事になったら、ハッキリ言って私も肩透かしである。それは不本意だ。なので発声をちょっとやって声を作ってみる。
『あーあー、時間がありません。お別れはお早めに』
デリカシーがない？ 仕方ない。私だからね。その言葉を聞いて、驚いていたネナンちゃんの両親。周囲をキョロキョロとして、私を……いやG-01を見た。私はそれに頷くことで返すよ。これできっと理解しただろう。彼らに見えるその秒数の意味を。
「ネナン……話を聞いて」
「お父さんたちには時間がないんだ」
「え？ 一緒にいられないの？」
まあそうなるよね。けど私は何も口出さない。ただ三人のやり取りを見守るだけ。ネナンちゃんは両親が戻ってきたくれたと思ったんだろう。けどそれは違う……と釘を差された。それは再び絶望に落とされたような感情のジェットコースターだろう。
「いや……嫌だよ……そんなの……」
そう言って大粒なの涙を流して頭をふりふりするネナンちゃん。その姿は可愛い。悲痛だけどね。でも可愛いとも悲痛とも言ってられない問題がおきてる。それはなにか……それはもうネナンちゃんがただの子供ではないということだ。ネナンちゃんはその体には不釣り合いなほどの力を宿してる。
それが彼女の精神が不安定になったことによって溢れ出ようとしてた。こんな事、ネナンちゃんの両親は訳解んないよね。流石にこれは可愛そうだから、G-01で溢れ出してるエネルギーを吸収することにした。
「ネナン落ち着いて！」
「そうだ大丈夫だから！！ 話を聞いて！！」
両親は私がネナンちゃんの力を抑えるとそのタイミングで再びネナンちゃんへと抱きついた。そしてあやしてる。けどネナンちゃんは「いやいや」してるよ。
（うん、やっぱりちょっと秒数盛っておこう）
三十秒くらいならバレないでしょ。私はそう思ってちょっとだけ秒数を加算した。
