「見つけた！」
私はそう言って早速動き出した。ある地点に歩いて言って片手を砂につけて、反対側の手を空へと掲げる。私は砂を見てるようで、砂を見てない。見てるのはその中に隠れてるブニブニだ。黄金の鬼をスキャンしてその力の流れを見て、そこにいるのはわかってる。
実際、確実にG-01でも見えてるわけじゃない。かなり上手く世界に溶け込んでるんだろう。でも力の流れだけは隠せない。だからこそわかる。でもここでブニブニに攻撃するのは不味いとかもしれない。
だって別にブニブニには善悪とかが有るわけじゃないと思う。ただ、あの黄金の鬼に利用されてるだけ……ってのが私の見方だ。そもそもが鬼だって普通なら善悪とかがあるわけじゃない。ただ役目をこなしてて、邪魔なやつを排除しようとしてくるだけ。だから私は普段やってたことは、真面目に仕事をしてる鬼を邪魔してたのだ。だから「こいつうぜーから黙らせてくるわ」とやってくる鬼を返り討ちにしてたっていうね。
要は私には何も正義なんてなかった。ただ鬼が美味しかったから一対一に持ち込んでそのエネルギーを得てたわけだ。本当に悪いやつだとは思うが、まあ鬼には感情なんてないから。
それに鬼が何体か居なくなっても世界の分解と再構成には問題なんて生じてないからね。もちろん、もしかしたら鬼を補充してたのが神ではなくて、この世界のエネルギーからやってたとしたら、私も間接的にはこの世界の崩壊を早めてたってことになってしまうんだけどね。
まあつまりは、ブニブニに下手に攻撃して倒してしまうとすると、この世界のエネルギー的に大丈夫なのか？ ってことだ。理想としては鬼とブニブニのつながりを断ち切る……それが一番。それでも鬼には莫大なエネルギーが残るだろうが……あの鬼はもう堕ちてきてる。普通の鬼ではない。
黄金になって堕ちてきた鬼は、教会の関与もあってもとに戻るとかないと思う。なにせ染まりすぎてる。私が観測してた世界の外の鬼たちとはエネルギーが変わってるっていうね。厳密にはもちろんこの世界のエネルギーであるのは間違いないが、私が
今まで見てきた鬼とはエネルギーの質が違う。変わってしまってる。だからきっともう戻れることはないんだろうって思ってるよ。
G-01ならもとに戻すことが不可能ではないかもしれない。でもそこまでするよりも倒したほうが早い。神との契約があるから、倒してもあの鬼のエネルギーを私は取り込むことが出来ないが、世界にはきっと帰るだろう。鬼のエネルギーは膨大だ。それが世界に帰るとなれば、この世界の寿命が伸びるかもしれない。そういうのに賭けてもいいよね。
なにせこの世界を明で支えてるのはブニブニで、宵で支えてるのか鬼だから、それらがボロボロになってしまうと一気にこの世界が崩壊……してもおかしくない。ここらでフォローするくらいがバランスいいと思う。
