黄金の鬼の角と力を凝縮した聖剣がぶつかり合う。ギチギチ、バチバチと拮抗し合う剣と角。でも……
「くっ!?」
鬼が大きくかぶりを振って吹き飛ばされた。やっぱりだけど、まだダメだ。この程度じゃ、鬼の角を切るには足りない。自分を弾き飛ばした黄金の鬼はその口に力を貯めて、光線を放ってきた。でもそれをこっちは聖剣で叩き切る。二つに分かれた光線は左右に流れていった。
「はあはあはあ……」
まずいな。今のでかなりのエネルギーを使ってしまった。角は切れず、なんとか攻撃は防いだが、それによって聖剣に凝縮したエネルギー自体が消えてしまった。いや使い切った……といった方が正しいだろう。
そんなことを思ってると、再び鬼が力を集め出す。まずい……あれを連続で撃てるって……そう思ってると、鬼の顔が横に九十度曲がった。変な音もした。それによって力自体が霧散する。ふと、力が抜けたように黄金の鬼の体が落ちていく。けどそれも一瞬だった。グギっという音ともに、砂に腕をつけて体を支えた。そしてもう片方の腕を首の後ろのところに持っていくと、開いた手をぎゅっと閉じてその腕を砂にめり込ませた。すると上から砂獣の彼女が落ちてきた。
鬼の首を折ったのはやっぱりだけど彼女だったのだろう。糸を使ってどうにかこうにかやってくれたらしい。実際鬼の首を折るってすごい。彼女の腕なんて鬼からしたらそれこそ糸みたいなものだろう。それなのに……多分だけど、今のこの体の自分にだってまともにやったら鬼の首を折る……なんてできない。
砂に叩きつけられた事で砂獣の彼女はモゾモゾとしてる。きっとダメージがでかいんだろう。黄金の鬼は今は自分よりも彼女をみてる。そしてその腕を持ち上げて、まっすぐについてくる。
「させない!」
自分はなんとか彼女を掴んで鬼のパンチを避ける。本当ならお姫様抱っことかして格好良く助けた方が良かったのかもしれないが、彼女の下半身は蜘蛛だ。そんな持ち方はできない。なので失礼だけど、蜘蛛の足の一つを持って強引に移動した。
なんとか回避したけど、どうやら黄金の鬼はこの隙にちゃんと立ち上がれたようだ。その様子がとても大きく、巨大に見える。