「私はこれまで殺すことで罪を浄化してきました」
『えっと、それは罪人をってことですよね?』
「そうですね」
ミレナパウスさんはたくさん殺してきたらしい。そしてそれはどうやら教会の主導でってこと。まあ実際、わざわざミレナパウスさんが通り魔よろしく罪人を殺しまわるなんてしないだろう。けどなんか、それだけではないよう……そんな気もする。
「ですが、そこに私は使命しかありませんでした。罪を裁く権利……それがあると私は思ってました」
『それは仕方ないかと。なにせそういう風に育てられたのでしょう?』
「それは言い訳になりますか? 私が殺してきた人たちに対して、私は何もわかってなかったんです……など」
それは……まあ確かに……とは思う。なにせ殺された側はたまったものじゃない。それに……それに、実際その人たちが罪人だって確証もないからね。なにせ教会が邪魔だと思ったやつらは簡単に罪人――とする事ができるからだ。それをもしも聖女であるミレナパウスさんに処理させていたってなると……本当に鬼畜。そしてそれはもしかしたら自分たちの良いように彼女を教育にするためだったかもしれないからね。。
「それに……それにです。私は何も感じてなんていませんでした。彼らは泣いて許しを請うてました。でも……私は、ただ言われたとおりに彼らを殺していた」
『それは……』
ちょっと養護できないな。じっさいこの人も最初はペニーニャイアンみたいな奴だった……ということか。
『けどどこかで間違ってたと思ったんですよね? なぜですか?』
それが大切だね。改心したのなら、ペニーニャイアンよりはマシじゃん。だからその話が大切だろう。
「間違ってた? いえ、私はただ、知ったんです」
『知った?』
何を? すると彼女はギュッと唇を噛み締めた。そしてそれを離す。うん……形の良い口がエロいな。この人、目隠ししてるから、自然と口に注目してしまう。歯並びは綺麗で、歯は白く綺麗。そして唇はとてもプルプルしてる。それだけでいい環境にいたのがわかる。
この世界、歯並びは大体の人が綺麗だ。なにせ皆顎を使いまくってるし、柔らかい食材なんてそんなにないからね。けど真っ白な歯ってのはそうそういない。けど彼女の歯はとても綺麗だ。それだけで、上流階級というのかわかる。だから自然とその口に視線が行っちゃうよね。
「はい、私は私が彼らと何も変わらないと……知ったんですよ。私は飼育する側ではなくて、私も結局は教皇たちによって飼育されてる側なのです」
そういって彼女は顔を上にあげた。そこには天上がある。けどどうやらミレナパウスさんは天上を見つめてるわけではないらしい。
「今、扉があるじゃないですか?」
『扉? 空の……ですか?』
「それです。私達、聖女と巫女は、その生命を引き換えに楽園への道を開くのが約目です。それだけの存在です。私はただの道具なんです」
そういって最後に「滑稽でしょう?」といって彼女は笑った。楽しそうに、そして哀しそうに……