ドンドンドドドン!! ドドドドン! ドドドドン! ドンドンドドドン!!
――そんな太鼓の音がアズバインバカラの街に響き渡る。宮殿の周り、広場、そして一番大きな通りには人々が集まってる。そこには元からこの町にいた人と、そして後から入ってきた人たちで垣根なんてない。
なにせ等しく、ここにいる人達は教会の敵対者なのだ。つまりは同じ立場。教会がこの世界の覇権を握ると、砂の上に生きる彼らに待つのは死だけだろう。
まあけどだからってわけじゃなく、皆が希望を抱いて、これから起きることを今か今かと待ちわびていた。太鼓の音が響いたことで、これからようやく始まるという合図。それによって否応にも皆のテンションはブチ上がってる。空には空中に浮遊してる複数台のモニターがある。モニターというか、そこに物理的な何か……があるわけじゃなく、ドローンによってその場に投射されてるのだ。けど今はそれはザザザーという何とも目が痛くなるような、そんな映像しか流れてなかった。
けど一瞬のその映像の暗転、そしてそれから、違う映像が流れ始める。それはたくさんの色が流れていく映像だった。画面の周囲から渦巻くようにでてくるそれは、中央に集まるにつれて、数字を作っていく。それは10から始まった。そして次には9――8――7――そうなると皆が察する。
きっと0になったときに始まるんだと。これから始まるのは世界の命運を賭けた戦いだ。この戦いに負けると、どっちかは『死』という最後が確実に待ってるだろう。
でも、悲壮な感じは誰も発してない。ただただ、これからが楽しみだと……そういわんばかりかのようだ。それを証明するかのように、誰かが数字を叫ぶ。
すると、それに続くようにその声はどんどんと重なっていく。3からはこのアズバインバカラ……そしてそれだけじゃなく、ジャルバジャルでも町全体がここに集う人々の声で震えてるかのようだった。
そして皆で0を紡ぐ。その瞬間、モニターには王様が映り、そして宮殿のテラスに彼がその姿を現した。最初に発した言葉……それはこんなんだった。
「よい声だ」
満足そうに、この世界の晴れ渡る空のように、満足気に王様は言葉を紡いでる。