uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 989

 殺した教会のやつを放置して俺たちは動き出した。どうやら事前にこの女にはある程度の情報ってやつがあるらしい。だから女の歩みに迷いはない。
 それに付き従いながら、俺は不満を漏らす。
 
「殺せたんだからいいだろ? それに……ただ見張るだけなら、俺なんていらないだろ?」
 
 そうだ。アンタだけでいい。何もやらないんなら、俺なんて必要ないんだ。それともそれだけでかなり危険とか? でもアイツ等は俺の存在にだってその直前まで気づいてなんかなかったぞ。
 それにもう教会とは敵対が表明されてるんだ。王様とかに媚を売るにも、沢山の教会のやつを狩るのがいいと思うんだが? なにせ俺は軍から逃げ出してる。
 それも武器をもって……ここで下手に俺なんかに反抗されたらうざいとは思っても厄介とは思わないだろう。ただ何人かの人を送り込んで始末させればいいだけ。
 でもそんな俺がここの体制ではなくて、教会を狩ってるとなれば、見逃される可能性は高くなる。親父だってそれを臨んでるんだと思うんだが? それでどうにか上の方にかけあうとか……そんなのかもしれない。
 そうなるといくら教会のやつを殺したか――が重要になると思う。だから殺したい……今の俺は最初の一回が上手くいったから血に飢えてるのだ。
 
「戦うのは最後の手段だ。それにこうやって二人でやるのは万が一のためだ。どっちが死んでも、必ず情報を届ける為の保険だよ。まあ私はやられる気はないが」
 
 それはこっちだって……と思った。俺だってやられる気は無い。大体教会のやつなんてのは鍛えてもない奴らが多い。ヒョロガリか、太っていつだって汗をごまかすための香水臭い奴らばかり。
 この剣が届けば確実にやれるだろう。
 
「いっただろう? さっきのはたまたまだ。奴らには魔法がある。魔法を使う相手と戦った事があるか?」
「それは……ないけど……」
 
 ある訳がない。なにせこの世界で魔法を使えるのは教会の奴らだけだ。そしてこれまでは教会には出来得る限り媚びを売る――というのが常識だったんだから。戦うなんてきっと想定してない。でも今はもうそんなことは言ってられない。
 教会と戦うということは魔法を相手にすると同義。でもそういうことか……俺たちにはその魔法の知識とかいうのが全くない。『魔法』という言葉を知ってるだけで、その中身はふわふわで曖昧なもの。
 でも必要以上に怯えるのは違うだろう。
 
「魔法なんかよりも早く動いてしまえばいい。近づいて切る……それでなんとかなっただろ?」
「さっきはな……だか私達は魔法を知らなさすぎる。だから何が起きるかわからない。こっちには準備してるようには見えなくても、魔法で迎撃するすべはあるかも知れない」
「それは――ん?」
 
 なんかいきなりさっきまで前にいた女が見えなくなった。いやそれだけじゃない。なんか暗い。真っ暗だ。まるで目を閉じたのかのような暗さ。そして喧騒も聞こえない。
 これは一体?