「なんか殺してしまうな……生け捕り良いんだが」
これまで出会ってきた教会の奴らはもれなく殺してる。それをどうやら女は気にしてる。彼女的には生け捕りにして、教会の動きとかを吐かせたいんだろう。なにせ近々大きな戦いが起こるのは誰もがわかってる。
なにせ王様と教会は対立を表明してる。そしてこれまでの教会の悪行は同時に公開された。教会が救うのは教会の奴らだけで、俺たちのことなんただの生け贄として思ってない。生け贄としか思ってないが、その生け贄を使って空の扉を開いて楽園へと行く気だと聞かされたら、なんだそれ――ってなるのは当然だ。
教会は生け贄を生け贄として使うためにここに攻め込んでくる。そして俺たちはそれに抗う為に対抗する……そうなると戦うしかない。自分たちの尊厳を、そして命を誰にも蹂躙されないためにも、戦うしかない。
「これもそれも全てお前が悪い」
「最初のはそうだけど、今のは違うだろう? 向こうから仕掛けてきた。だから俺に責任はない」
とりあえず服を来た女だが。この世界の服は基本生地が薄い。なにせ熱いからだ。だから通気性良く出来てる。まあ何が言いたいかというと、下はともかく、上の方は服を来てもあの部分が普通に見えてる。もちろんあの部分というのは女性の特徴的な部分の敏感なところだ。
「それに殺してるんだからいいだろ。相手の戦力を削ってるっことだ。このままここにいる教会の奴らを全部殺してしまってもいいだろ」
そう、それをやれたらそれこそ大金星だと思う。そうなると俺の罪は自動的になかったことになる。寧ろ、表彰されてもおかしくない。これは本当に本当にいけるんじゃないか? そう思えるくらい旨く行ってる。確かに紙一重だっただろう。
本当なら女だって俺だって、何度か死にかけてる。そこでふと思った。
「そういえば、なんで生きてるんだ? 確かに燃えただろ?」
なにせ服は全部燃えてスッポンポンになってたんだ。とっさに服だけ脱いだ? いやそれはない。それなら流石にあの教会のやつは気づいたはずだ。それに実際焼けてたのを俺だって見てる。けど、女はピンピンとしてる。でも服は確かに焼けたから、裸だったわけで……燃えてたけど、燃えてなかった……それが真実なんだろう。でもそのからくりがおれにはわからない。
だって服が燃え尽きるほどだったのなら、普通肉体だって燃えるだろう。確かにこの世界の服はペラッペラだけど……人にだって油とか脂肪とかあるんだから人だって燃えるんだ。まあこの女の身体なら脂肪も少なそうではあったが……直接火にあぶられたらそれこそ無事で済むわけがない。なのに……そんな風に思ってたから女は普通にこういった。
「新たな身体強化の賜物だ。貴様はまだ習ってないだろうが、それで身体を守った」
「魔法からも守れるのか」
「ある程度だ。さっきは敵が早々に焼け死んでくれたと思ったから火力を上げる事がなかった。だから欺けた。だがそうじゃなかったら私は焼け死んでただろう。それにいつまでも息をしないわけにも行かないからな」
「それは確かに……」
ようは紙一重だったのか。でもなんとかなってるし、このまま本当に教会の奴らを殺していけるんでは? とか思ってた。でもそんな時、全身から泡立つような悪寒がたってくる。
「ああ、煩わしい。煩わしい。ゴミどもが私に……煩わしい」
そんなことをいって一人の男がやってくる。