uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 985

 俺たちは日が落ちたアズバインバカラを走ってる。人がごった返してる大通りではなく、裏路地……けど一気に人が多くなったアズバインバカラではこういうところに一定数の輩がいる。女とよろしくやってる奴、酒に溺れて地面に倒れてるやつ、食べ過ぎたのか吐いてる奴、絡まれてる奴、と様々だ。
 日が落ちてから宵になるまでは3時間程度しかない。なにせ日が落ちた時点で世界は活動を停止するようなものだ。だから俺たちは休む準備をする。もちろん酒を飲んだり、騒いだりするのもこのわずかな時間の楽しみで、それも休む準備だ。
 だから大通りではたくさんの楽しそうな声……俺もついこの間までは向こう側にいた。なのに……今はこうやって路地裏をこそこそとしてるしかできないような立場になってしまった。
 アズバインバカラは俺の町だ――そんな感じで威張って歩いてた。でももうあのころには……俺はそんな不安を振り払って前をみる。前にはあの女が俺を先導するように走ってる。そして俺たちはある人物を追ってた。
 
「まさか、教会の奴が入り込んでるなんて……」
「戦いはもう始まってる。次にぶつかる時がこっちか教会側か……その雌雄が決するだろう。だがな……全面的にぶつかる時なんてのはもう大体の裏工作が終わってるんだよ。それをやってない方は、結局負けるしかない」
「じゃあ、アズバインバカラは……こっちの陣営は危ういのか?」
 
 そういう風になってしまう。だってだ。なにせアズバインバカラという大本営にまで教会の刺客が入り込んでるんだ。それってつまりは、こちら側は懐まで入り込まれてる――ってことじゃないだろうか? もしも教会との戦いに負けたら……それは世界の終わりだといわれてる。生きるか死ぬかだけじゃない……この世界そのものがおわるって言われてるんだ。楽園……寝かせるときに昔聞かされた御伽噺……その楽園に教会の奴らは行くからこの世界はいらないらしい。
 
 確かに昔から親父とかから叱られるとき『悪い奴は楽園に行けなくなるぞ』とかいう脅しを受けた。まさか本当のその楽園にいける? にわかには信じがたい。そもそもが楽園なんてものを想像できない。美女がいっぱいいる場所だろうか? 
 俺がそんな馬鹿なことを考えてると目の前の女が「そんなわけあるか」と言ってきた。そこには確かに確信があるような……そんな自信を感じた。