uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 999

 ガガがガガガガガガガガガ!!
 
 迫る魔法。俺たちは覚悟を決めてた。背中にいる女が手を握りこむ様子がわかる。俺の肩に手を置いてるから、俺の着てる服も引っ張られるからだ。きっと悔しいんだろう。もともとが魔法を使える教会の奴らとは戦わない方針だった。それに従わなかったのは俺だ。おれが調子にのった。その結果……付き合わせてしまった。一人なら、もっとうまくやってたのかもしれない。助けてやりたい。死ぬのは俺だけでいい。けど、弱い俺にはどうにもできない。
 
 弱い奴には死ぬ場所も、死ぬときも選ぶことなんてできないんだ。そしてなにより……弱いと何もできない。それを今、まさに実感してる。凶悪な音、きっと俺たちは切り刻まれて、それこそ人の形なんて保ってなんてられないだろう。それが容易に想像出来る。
 
(最後は痛くないといいな)
 
ぞんなことを思ってた。そして俺たちの周囲をと音がとおりすぎる。すぎ……すぎ? なんか音がなくなったぞ? 俺たちはもう死んだのか? 実はとても一瞬だったから、痛みも何もなかったとか? けど……重みはあるし、心臓の音だって聞こえてる。これは……一体。
 
「勇者……様」
 
 そんな事を女がいった。それは今まで聞いたことないような声音だった。いうなれば黄色い声……というか。ワントーン高い声だった。この賞金稼ぎを生業にしてる……女をある程度捨ててそうな女が、女のような声を出した。俺はぶるっと震えた。
 
「危なかったね。もう大丈夫だから」
 
 そういう勇者は白い服に身を包み、そして光る剣を携えてた。既に前を向いてる勇者。何やら半ドーム状の何かが俺たちの周りには展開してた。きっとこれが俺たちを守ってくれたんだろう。それに綺麗な金色のそれからはふわふわと金色の粒子が漂ってきて、それが俺たちの傷へと入っていく。すると痛みがすーっと消えていって、ついでに傷も治っていくようだ。
 
(これも、魔法なのか……)
 
 そう思った。なにせ魔法といえば、俺たちにとっては凶悪なものだった。いや、今夜でそうなった。けど……この魔法は違う。優しくてあたたかい。けど……
 
「気を付けてください。そいつは――きゃ!?」
 
 は? と思った。きゃ? とな? いやいやいやいや、こいつそんな女じゃないだろ? 今までだって攻撃を受けたりしてたが、それで「きゃ!」なんてかわいらしい叫びを俺は聞いた覚えがない。攻撃が当たって実際痛くても、「きゃ!?」なんて言わなかった女が、それを言った。一体どれだけの攻撃を受けたのかというと、受けてなんてない。俺たちにはきずひとつない。もう全快してる。けど今一瞬、多分俺たちは攻撃された。それを勇者が防いだ。それだけだ。俺たちにはその音だけが聞こえた。
 なのに……『きゃ!?』 ――流石に作りすぎだろって思った。