なんとか彼女の元へとたどり着く。周囲が頑張って戦ってくれてたのが大きい。空にいた彼女を刺した砂獣。それはどうやら遠くから射られてどっかに落ちた。
今のうちに彼女を……彼女を……
「あっ……うう……」
確実に死んだと思った。助かるような傷じゃなかった。間近では見てないが、確かに刺さってたんだ。けど……砂に落ちた彼女は生きてる。
腹の傷は塞がってるのがわかる。そしてそこに一回は風穴が空いた……という痕跡もある。腹にわずかに残ってる跡。一応胸当てとか彼女はしてた。必要最低限の防具を身に着けてた。胸当てに肩当てとか……後は篭手とかだ。けど彼女は腹には何もなかった。その腹を豪快に見せびらかしてた。つまりは一番防御が薄い所に重いダメージを受けたんだ。
それで一回はきっと終わった。本当に致命傷の傷だったはず。けど……俺はそう思いつつ、自分の肩のあたりを触る。俺の防具も壊れてしまって、今は破れた服を着てるだけになってる。そしてその破れ方がどういう風に攻撃を受けたのか……それを物語ってる。
既に俺にも傷はない。綺麗さっぱり……いや、わずかに跡がある。そしてそれは彼女にも……だから絶対に彼女も俺と同じく死を体験したはず。
なんで助かったのか……あれだけの傷が治ったのかはわからない。こんな事が出来るのなんて、それこそ勇者くらいしか心当たりはない。けど勇者は今も戦闘中だ。俺たちに回復なんてしてる場合じゃない。いや、あいつなら片手間で致命傷を回復させる魔法……とかつかっても何らおかしくない……と思えるが。
「よかった……」
俺はそう言って彼女を抱きかかえる。とりあえずここは危険だ。後方に移動させないと……そんな事を思ってると、後方から歩いてくる一人の人物が目に入る。彼女の周りには何かか舞ってる。それはどうやら十センチ位の丸い刃? いや輪っかに刃がついてて,それが回ってるせいで、周囲からヒュンヒュンという音がしてるのかもしれない。
鋭いスリッドが入った服から見える白い脚。ゆったりとした布と硬い鎧が不思議なコントラストを醸し出してる格好をしてるその女を俺はしってる。
少し前にアノ女の情報を俺を聞いた。元は教会で聖女をやってたと言う女。それがその服を脱ぎ捨てて、こちら側の鎧に身を包み戦場に立ってる。そして彼女はその自立して飛行してる刃を使って砂獣を牽制。止まってる奴を持ってる小ぶりな杖から魔法を発射することで止めをさしていってた。
「何やってるんですか?」
彼女は俺に声をかけてきた。