uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1004

「まだまだだな」
「うるせえ……」
 
 俺がなんとか一体を倒したのを見たのか、そんなことを彼女は言ってくる。前を先行する彼女になんとか食らいつくように俺も走る。迫ってくる蟻型の砂獣、確かに一撃で絶命させる……
となったら厳しくなった。けど……俺たちにはこれまでの積み重ねがある。
 これまでの砂獣の情報は俺も勉強したんだ。というかさせられた。どうやら軍の方では今までの砂獣の情報を頭に叩き込む……というのは当たり前らしい。
 賞金稼ぎなら、そういうのは経験者に聞いたりするか、自身の経験を積み重ねていくしかない。けどそんなのは博打である。大体の人はその過程で生命を落とすか……自身の経験を誰にも伝えることなく、人生を終えたりする人が大半だった。それに賞金稼ぎの場合は同業者は仲間でもあり、ライバルでもある。仲間内にはいいが、それ以上に広められた困る……というのがあるだろう。
 けど軍は違う。軍は所属してるだけで生活が保証されるのだ。そして軍に必要とされるのは安定。安定的に砂獣を退治できる様にならないといけないから、きちんと今まで軍が対処してきた砂獣の情報を残してるし、定期的に賞金稼ぎの所にきて情報を買ったりもしてるんだろう。
 
 普通はそんなのは秘蔵であってもおかしくない。けど今回、それらの情報が全てこの戦いにおいて開示された。それこそ俺たちのような賞金稼ぎにも……だ。まあ俺はそれを直接受けたわけじゃない。眼の前の女に又聞きしただけだ。けど本当に授業の様にされた。勉強なんてこの上なく嫌いなんだが、聞かないと飯抜きにされるから一生懸命頭に叩き込んだ。
 
 そして今、その知識が役立つ。彼女は弱点? そんなの関係ねえ! とばりにその技術……そして俺よりも制度の高い身体強化によって強化された砂獣さえも屠ってる。流石に今すぐにあのクラスに行くことはできない。
 そして砂獣たちもそんな研鑽をまってくれるほどに悠長なやつらでもないのは明確だ。だから戦いの中で成長して行くしかないわけで……そして成長していくには生き長らえないといけない。そのためにも、使えるものはすべて使う。
 
 俺は砂を滑った。迫ってくる蟻型の砂獣に近づいた所で、尻で砂の上を滑る。そして蟻型の砂獣の腹に潜り込む。コイツ等は基本的に背よりも腹の方が柔らかい!! 
 
「うらあああ!」
 
 俺はその腹を剣で突き刺し、そのまま縦に切った。今度は一発だった。けど砂獣はまだまだ多い。いや、尽きることなんてないかもしれない。けど……それでも……俺たちは戦い続けるしか出来ない。
 
「どうだ! みたか! 俺だってな……っつ!?」
 
 俺は聞こえてなんてないだろうが、とりあえずそんなことを口にして彼女をみた。そして俺の瞳に映った光景……それはさっきまで元気に砂獣を屠ってた彼女の姿じゃなかった。
 
 今、彼女には砂獣の角がその身体を貫いてるようにみえ……る。