uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 471

 光りが壁になって大型砂獣の放った攻撃を受け止める。でも……
 
「案外……重いな……」
 
 絶え間なく攻撃を続けてくるムカデ型の砂獣の攻撃によって、光りの壁にひびが入ってきた。やっぱり無理して広範囲に広げてるのか影響してるのかもしれない。なにせこの光りの壁は自分の目の前を防ぐのが本来の使い方だ。それを今の俺自身の力で無理矢理範囲とか出力を拡張してる。
 それがきっと無理がある。個人範囲で護るだけの力を広範囲にひろげてるから……最初から広範囲を護る感じの奴にしとけば……いや、それでもこれを抜ける奴は早々いないはずだ。勇者の魔法は強力な物が多いからな。でもやっぱり元の世界とここでは敵の強さも違うみたいだ。
 まだ俺の世界はここまでひどくはなかった。確かに魔王達の侵攻とかあって必ずしも平和な世界ではなかったかもしれないが、対抗する術はあったし、世界には緑が溢れてた。それに生活圏を護る術は確立されてたし、街や都市が蹂躙されるなんて事はそうそう無かった。でもここは違う。この世界はどんな街でも次の日にはなくなってる可能性がある。それだけの危険性がある。
 
「勇者、もう少し耐えていろ」
 
 魔王がそんなことを言ってくる。なにかやってくれるのか? とかおもってるが、別に何か力を貯めてる……とかは感じられない。
 
「何かあるのか? 早く頼みたいんだが?」
「ゴミが動くようだぞ」
 
 ゴミって……多分アズバインバカラの近くに居るラパンさんや王様だろう。そうか、王様が動くとなると、つまりはジゼロンワン殿が動くと言うことだ。兵や賞金稼ぎ達がアズバインバカラの方へと引いて行ってるのが見える。王様はジゼロンワン殿の事、あんまり見てなかったはずだが……ラパンさんはジゼロンワン殿の強さを分かってるから、その力を存分に発揮できるように、軍や賞金稼ぎ達を引かせてるんだろう。
 
 引いていく軍や賞金稼ぎ達の間を縫って、王様達と、その直属の護衛を承っただろう将校達が進み出る。そして慣れないであろう剣を掲げて王様は叫ぶ。
 
「よく戦ってくれた! 後は我がやろう。我ゼラバラバファ・バン・グルダランファ13世の声に応えたもう!」
 
 そう言って王様が俺が渡したただの棒を口に加えて噴いた。勿論それから鳴るのはスピーとかいう音にもなってない空気だ。一応綺麗な棒だったから何か起きるのかとも王様は思ってたのかもしれない。けど何もならなくて一瞬、いたたまれない空気が流れてるのがわかる。こっちも絶え間ない攻撃に限界が近い。でもそのときだった。俺の光りの壁までも破壊してそれは現れて激しい爆音を立てて全てを飲み込んだ。砂埃が戦場を包み込み、砂埃が収まると全ては終わっていた。大きな砂獣たちば軒並み倒されて、補充はこない。小さな砂獣達も何やらワイヤーのような物で締め付けられてた。
 ジゼロンワン殿が現れてからまだ数十秒くらいだ。それで……これを? やばり力の格が違うらしい。
 
 ジゼロンワン殿はゆっくりと王様の方へと歩いてく。そして片膝をつくと、兵士達も賞金稼ぎ達も、そしてアズバインバカラの住民達さえも沸き立った。アズバインバカラは護られて、俺たちは砂獣の大規模侵攻を防ぎきった。