uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1106

「ネナンちゃん……」
「ぽに!」
 
 ポニ子がまた私のいるコクピットへと戻ってきた。あんまり気軽に来ないでほしい。だってセキュリティが心配になる。いや、こんな気軽に来れるのおかしいんだけどね。
 なにせエネルギーが増えて脳の拡張を繰り返していくにつれて、G-01の機能はどんどんと高機能さらに多機能へとなっていった。それに伴って私はG-01のマニュアルを読み込んでいき、この機械の事を少しずつ理解してる。
 
 実際今でもまだまだ全てを理解した……なんて言えないレベルだけど、このコクピットがただG-01の内部にある……って訳じゃないのは理解してる。そうなのだ。私は実際、今動いてるG-01の中にいる訳じゃない。実際なんとなくわかってたけどね。
 だって私がいるこの場所、それなりに広い。普通人型ロボットのコクピットっていったら、それこそ一畳か半畳くらいのイメージしかないじゃん。けどここはそんなに狭くない。六畳……くらいはあるよ? 私が漬かってるこの水槽みたいなのに、背後にも色々とあるし、モニターも全方位にある。さらにコードやらなんやらもあるからね。
 
 これが普通に胸部分にあるとなると、それなりのスペースが必要だ。けどG-01は結構スリムなロボットである。まあ今はフレームも装備も更新を続けてガリガリの見た目では無くなってるが、それでも無骨……というほどでもない。
 数十メートル単位のロボットなら戦艦クラスでこのくらいのスペースを確保するのは簡単かもしれないが……あいにくとそこまでG-01は巨大ロボットって訳じゃない。十メートル以下のどっちかというとまだロボットとしては小柄な部類だと思う。
 だからこそ、この広さはおかしいというね……だからこそここって本当に胸の中? ってずっと思ってた。物理的におかしいとね。なのに……である。物理的におかしな場所にポニ子は普通にやってくる。
 どういうことだよ。
 
「ポニポニ!」
「はいはい、わかってるわよ。今はあんたのことじゃない……って事ね」
 
 ポニ子に促されるのもどうかと思うが、実際その通りだ。ネナンちゃんはやってくれた。きめてくれた。それによって彼女のサンクチュアリは教会が持ってたらしいピースを得て、完全に覚醒することになった。彼女は今、あの世界のたった一つのカギとなった。
 
 それのせいで皮だった巨大なポニ子ははじけ飛んだ。だからここにやってきたんだろうけど……その当の本人のネナンちゃんはメタリファーを退け、そして用意されたかのような扉へと続く道を今はゆっくりと上がってる。
 メタリファーが消えたことで、時間が止まってた人たちもきっとこの光景を目撃してるだろう。扉から一筋の光が希望のように降りて、その中にネナンちゃんがいる。
 
 彼女自身は動いてない。けど上がってる。扉が……世界が彼女を扉へと導いてるようだ。そしてついに……ネナンちゃんのその手が空の扉へと触れる。