自分を踏み潰すために作られた超巨大な都市核事隕石が迫ってくる。それを迎え撃つために、力を大きく解放する。星の光以外無い真っ暗なこの場所に、光の奔流が流れ出す。それはまるで夜空に出来た川のように見えることだろう。
刀身から出る光の奔流と、そして背中側に新たに光の翼が広がる。その姿はまさに闇を照らす存在。勇者そのもの。まずは一つの超巨大な隕石が迫ってくる。掲げた聖剣を自分はまるでゆっくりとただ静かに振り下ろす。光の刃はするりと超巨大な隕石へと入っていく。そして半ばまで来たとき、抵抗を感じた。
「む……」
もっと簡単にいくと思ってたが、なにか対策をされてる。けど……ここまでいければ別に良い。なにせどうせこの超巨大な隕石は結びあってる。だからどうせ縦に割ったところで再びくっつくのが目に見えてる。
だからこそ、ただ着るなんて事はする気なかったんだが……でもこんなにも切りにくくなるとは……多分だけど向こうもこっちのデータを集めてた節はあるからな。
今までは一発でスパッと切れてた。超巨大になったと言っても、こっちもそれなりの出力を出してる。だから今まで通りならこの超巨大な隕石だって一発で切れるはずだった。でもそうはなってない。だが丁度良い。
どうせ中心くらいで止めるつもりだった。
「浸透しろ聖剣の光よ」
その言葉とともに光が隕石を包み出す。そしてあっという間にその巨体を光で包むと同時に、自然と超巨大な隕石ははじけ飛んだ。しかもそのつぶて一つ一つも寄り集まることは今度はない。なぜなら、隕石に自分自身の力を通したからだ。
いや、まあそれは厳密には違う。なにせ寄り集まって繋がりが強固になった都市核には力を内部に浸透させることは難しかったからだ。だからこそ……自身で入れた亀裂から包んだと言った方が正しい。そしてその外圧で崩壊したところを更に包むことで、外からの干渉を受け付けなくしたわけだ、そうなればここまで崩壊すれば、後はもう元に戻ることはない。そして、その都市核の力と、自身の包んだ力の誘導……それを使って……
後方に流れていく超巨大な隕石だった破片達。それらはバラバラに流れて行ってるように見えて、一部はコントロールして、この空間の弱点へとぶつけている。やっぱりだけど、あの都市核の力の方が効果がある。相性という奴だろう。でもまだ二つあるからな……これだけで壊れてもらっては困る。狙いは最後までかくして置くべきだろう。そう思ってると、続けざまにもう一つの超巨大な隕石がやって来た。