市街の教会の方へと自分たちは急ぐ。眼の前の……いや目についた砂獣は片っ端から薙ぎ払っていく。建物を駆け、地面をえぐり、そして空さえも走る。
「急ぎましょう」
「すげえ……」
一緒に連れて言ってる誰かがそんな事を呟いたのが聞こえたが、自分は聞こえないふりをした。別に馬鹿にしてるとか、そんなのではない。ただ今は皆を守って目的地につくことが大切なだけだ。
生き残りは十人くらいしか居ない。彼等を守りながら進んでるから、大変……ってわけでもないが、次々と砂獣が湧いてくるからな。そんな事を考えてる間にも、自分の周囲に浮かんでる光の弾が背後の砂獣に飛んでいく。そして当たったと同時に白い炎が立ち上がって灰にする。なにせ砂獣共はしつこい。生命力と言って良いのかわかんないが、奴等はしぶといからな。
こうやって確実に殺しておく必要がある。ちなみにだが、この自身の周囲に浮かんでる光の玉を制御をしてるのは自分じゃない。自分の中にいるノアがやってる。
(やってやりましたよ旦那!!)
とかいってくるのがうるさい。なんとか仕事をしようと必死なようだ。きっと自分へのポイントを貯めようとしてるんだろう。一度反乱してるからな。そんな事を思ってると、聖剣が自分を引っ張るように動く。
「おい、ちょっ――」
そのまま突き進んで通路を進んできてた砂獣に突貫して風穴をあける。昔は聖剣はこんな自由に動くなんてことはなかった。けど……最近、自身の中のノアに聖剣が対抗心を燃やしてる気がしてならない。
まあお互い意識合って、より高みにいってくれるのなら文句はない。ただ真ん中にいる自分がなかなか大変だが。そんな事を思いつつ教会を目指すと教会の周りに、飛んでる沢山の砂獣が見えた。いや近づくにつれて「プーン」という音が大合唱してたからわかってたが……人間サイズの蚊が教会周りに屯してる。
騎士の人たちと相性が悪い飛行タイプが囲んでるとかどういうことだ? コイツ等に知性なんてものは無いはずだが……それかこの波を起こした教会の意思? この建物内にいる人達を一人残らず殺そうって意思があるのか?
「ひえっ!?」「なんだあれ?」「あんなのの場所に行くのか?」「あれはもう駄目じゃ……」
とか聞こえる。とりあえず自分はそんな弱気な言葉には耳を傾けずに、「まっすぐに走ってください!」とだけ言って、先に出る。そして聖剣を形態変化させ、しなるような形状にして一気につこっんだ。そして教会の建物の屋根の上で、そのしなる聖剣を振り回し、ものの数秒で教会の建物を囲んでた蚊を一掃してやった。