「つっ……」
なんか苦しい。息できないってことはないが、なんかめっちゃ苦しくなった。もしかしたら喘息持ちの人とかこんな感じなのかなって感じで苦しい。いや、私はその経験がないから全然わかんないんだけど……マスクしてるよりは全然苦しいよ。
(これはやばいかも?)
早くも折れかける私の心……けどちょっと頑張ってみる。今はまだ体がびっくりしてるだけだ。今まで快適だったから、その体のままに体を動かそうとしてるのがきっといけない……とか考える。だからちょっと時間を置けば、体が勝手に都合よく対応してくれるんじゃないだろうか?
そんな期待をした。そしてちょっと待つと、事実ちょっとマシになった。ゆっくりと呼吸をすれば息苦しさはだいぶ緩和される。
「これなら……」
私は自身に回してたエネルギーを使ってネナンちゃんと両親の魂をどうにかしようとスキャンする。鬼になってた時はネナンちゃんと両親はたしかに繋がってた。てか
会話をしてた。けど今は出来てない。それって一体どうして?
「周波数的にはあってると思うけど……」
家族の何かが致命的にズレてしまった……とかはないらしい。そもそもがそうなってたら、ネナンちゃんはこの光……魂が両親だとは気づくこともできないだろう。なにか通じ合うものがあるから、彼女はあの光を両親だと気づくことが出来るんだと思うし。
つまりそこに変化はない。なら……
「なにがあの時と今では違うのか……だよね。今、ネナンちゃんの両親は魂になってる……あの時は鬼……という体に入ってた?」
でも鬼に入るって出来るの? 鬼はそこらの存在よりもよっぽど強力である。それこそその世界の最強なんて言われるやつよりもよっぽど強い。強い存在に入るってある意味でその存在に染まるというか、もっと残酷に言えば塗りつぶされたりしたりするような……
それこそあの世界の人の魂が鬼に入って無事でいられる? って気がする。でもここに実例がいるからね。G-01の中にあるデータとか見る限り、今の観測結果からするに鬼のエネルギーはこの魂の数百万倍とか足りないくらいの力の差がある。
それなのに、魂が塗りつぶされたりせずに、寧ろ鬼となっててもちゃんとこの魂は意思を保ってたよね? それって……
「鬼が受け入れてたとしか思えない」
そういうことになってしまう。鬼が? なんのため? それにもしかしてだけど、ネナンちゃんと魂の意思疎通の可能性を私は思いついた。
「もしかして、魂と意思疎通するには媒体……ようは魂の入れ物が必要なんじゃ?」
その可能性を見出したよ。