「きゃああああああ!! 変なおっさんたちがいるぅぅぅぅぅぅぅ!?」
「「「おい!?」」」
「きゃああああああ!! 怒ってきたぁぁぁぁぁぁ!!」
「ちょっと草陰、あんたわざとやってない?」
最初の悲鳴は女の子が二人で叫んでた。けど二回目からは一人だけ、さらに声をかけられて、一人は三人がちゃんとした人間だと思ったのか、ペコっと頭を下げたくらいである。
「いやいや小頭ちゃん甘いよ! こんな場所に集まるおじさんが生きた人間な訳ないじゃない!!」
「それは偏見でしょ……ごめんなさい」
黒と赤のツートンカラーのおさげの子がなぜか猩々坊主達を死んだ人間にしたいと叫んでる。確かに大の大人がこんな場所にいるのはおかしいかもしれない。
それにいい大人である。これが20代前半とかの大学生とかなら、まだ肝試しでも来たのかもしれない――と思えるだろう。まあ今は昼前くらいだが……でも猩々坊主たちはいいおじさんたちである。確かに彼女たちのような子供からしたら、大人がここにいるのはおかしいと思うものかもしれない。
だからっていきなり死体扱いはないと思う三人だが。
「わかったわ! あんたがこいつらのボスね! 離れて小頭ちゃん! 坊主の霊は修行中なのに禁断の恋をして、その女の人と駆け落ち、ここで一緒に飛び降りて悪霊になったんだ!! 危険すぎる!!」
「おい……」
あり得ないほどの設定を盛られてる猩々坊主は思わず自分よりも二回りくらい変わりそうな少女にすごんでしまう。それに『草陰』と呼ばれた少女がビクッとした。流石によい歳した大人の男の威圧感ある声は中学生女子には怖かったらしい。
「本物……」
そういってツートンカラーの草陰少女はささっともう一人の小頭少女の背後に回った。そして「本物」というつぶやきを拾ってた猩々坊主はその言葉をどっちにとっていいのか迷ってた。人間? それとも悪霊……どっちと思っての「本物」だろうか?
「……の人間?」
答えはでた。なので猩々坊主は「そうろう」と答えた。すると――
「え? 早漏って……女子中学生に言っていいことなの? やっぱり悪霊じゃない?」
「確かに……」
あまりにもな言葉のチョイスをしたせいで、せっかく元から人間だとおもってた小頭少女までも猩々坊主のことを疑いだした。流石にこれには猩々坊主は自分が悪かったと反省して言い直した。
「いや、すまん。もちろん人間だと言いたかったのだ。今のは古い言葉だ。決していやらしい言葉ではない。すまんな若人よ」
「「…………」」
二人は何かを見極めるように猩々坊主を見てた。