uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 251P

「はあはあ……っんはぁぁぁぁ」

「がはっがはっ――ぜぇぜぇぜぇ」

「ばはぁぁぁ――ばはぁぁぁ……」

 

 個性的な呼吸をしつつなんとかその体に空気を取り込もうとしてる面々。その間にも、一番体力がある猩々坊主はさっそく入り口にお札を貼っていた。そしてさらに壁や柱にもお札を貼っていってる。

 

「はあはあ……それ――っは?」

「結界だ。まあ、どれだけこれが効果的かはわからんがな」

 

 どうやらここは廃墟らしい。廃棄されたビルはもとはショッピングモールだったのか、いろいろとある。だが一階部分はかなり荒らされてる。それに……だ。何やらかなり危なそうだ。なにせ天井はひび割れてるし、いつ崩れてもおかしくないように見える。ここしかなかった……とはいえ、ここがどこか猩々坊主はピンときた。

 

「どうやらここも対象の一つだったようだな」

 

 そんなことを言った猩々坊主の言葉を確かめるためにか、まだ息も絶え絶えだが、パソコンを持ってきてる奴がそれを取り出した。そしてスマホも同時に出して、自分たちの位置を表示して、パソコンのまとめてたこの町での不思議な現象が起こった場所のまとめと照らし合わせた。

 

「はい……」

 

 何とかそれだけをビールっ腹の彼は言えた。ぜえぜえしてる彼らは絶対にこの夜を乗り越えたら体力をつけよう――と誓ってる。そんな彼らの耳に再び猫の鳴き声が聞こえてくる。大量の猫の鳴き声。そして扉が――ダン!! ――と震えた。

 それは明らかに小さな猫にできるようなことじゃない。そもそもが人間にだってできるかどうかもわからないくらいの衝撃だ。今にも鉄製の扉が吹き飛びそうだった。

 ビルの正面入り口ではなく、彼らは通用口とでもいうのか、関係者だけが本来なら使うような処から入ったらしい。だからある意味で大きな扉ではなく、小さな扉だから簡単に壊されるような扉でもなかった。これが自動ドアだったところとかなら一気にぶっ壊して入ってきたかもしれない。

 そもそもが自動ドアのところはすでにぶっ壊れてる可能性が高い。猩々坊主が結界を張ったとしても、物理的な壁がないとやっぱり心もとないから、ここはよかったのかもしれない。けど向かい側……扉の反対側は猥雑としててそして闇が広がってる。彼らがいるそれこそ三メートルくらいしか彼らの視界は確保されてない。

 だから扉もそうだが、実は闇の方から何かが……何かがくるかもしれない……という思いも彼らにはある。

 

「収まった?」

 

 ダウジングを持ってた彼が静かになった扉を見つめてそういった。さっきまでいつ破られるかと冷や冷やとしてた扉が、今は静かになった。

 それで三人はホッとするが……

 

「ぐああああ!?」

 

 それはまたダウジングを持ってた彼だ。一体何が起きたのか。どうやら彼が持ってたダウジングの棒が超高速で回転しだして、彼の手の皮を僅かだが焼いたみたいだ。

 

「な……なんなんだよ」

 

 ダウジングの棒を思わず離した。けど、その棒は回ってた。まるでそこに彼の代わりに誰がそれを持ってるかのように、持ってたままにダウジングの棒がそこで超回転を続けてる。それをみて四人はいったん引っ込んでた恐怖が湧き上がってくる。

 そして耳に響く音が聞こえてきた。ヒタヒタ――ヒタヒタ――と。