ザンサンシャカレの兵士たちは上手いこと連携をしてる。一人が突っ込んで斬りつけて、さらに別の所から切り付けて、さらにさらに別の方向から切り付けてる。そんなとめどない連携をこの僅かな時間で作りあげて終わりのない連撃を絶えず繰り返してる。
彼らの選択は切って切って切りまくる。つまりは絶え間ない波状攻撃……それによってでっかくなった教会の奴を抑え込もうとってことらしい。実際、上手く抑えてはいる。
相手ももちろん反撃をしてる。けど、それは闇雲だ。奴は目の前の相手をどうやら無暗に攻撃してる。狙われたらそれこそ脅威だ。体が基本的に強いこの世界の人たちでさえ、あいつの攻撃は一回耐えられたら御の字って感じだ。まともに食らうと、それこそ武器とかで受け止めたとしても、どうしようもない。
なのでこうやって相対するのはひやひやものだろう。どうにかして、もっと奴の攻撃をぶれさせる方法はないか……二か所を見てるのはなかなかに大変。いや、実際私は目隠しの聖女の動きも見てるし、他にも様々な場所の様子を同時にみてる。だから実際二か所なんてものじゃないが、まあ今はこの場所を注目してみてるからね。あとはながらみである。なにかあったらエマージェンシーがなるだろう。
とりあえず私は危ない――って思ったときに、ドローンをザンサンシャカレの兵士とでっかくなった教会の奴の間に割り込ませたりする。せっかくここに到着したドローンを使い捨てるような行為だが……仕方ない。だってドローンはいくらだって作れるが、人の命は一度失うと戻ったりなんかしない。
「た、たすかった。すまん!!」
そんなことを言ってすぐさまザンサンシャカレの兵士は動く。身代わりになったドローンはその寸胴な体がへっこんで哀れな無残な姿へと変わり果ててしまってる。
実際かなり頑丈なんだけどね。そんなドローンをただの拳で一発退場に追い込むあの威力は普通にヤバい。でも……
「どんなことだって無駄にしないよ」
私はそうつぶやくよ。そしてさっきのドローンが受けた衝撃を解析。どれだけの威力があったのか……とか犠牲になったドローンのデータを使って解析をする。
それにそれだけじゃない。攻撃を受けたことで、わかることはもっといろいろとある。なにせインパクトの瞬間に伝わることはいろいろとあるらしい。その時の感情、力の流れ、筋肉の動き。実際人体の筋肉の動きなんてもちろんだけどG-01には元からデータがある。同じ形をしてたら、そんなに変わるわけないのだ。二足歩行で腕が二本で頭が一つなら、だいたい同じような形をしてるだろう。そうなると世界が変わったとしても大体は同じような体のつくりをしてる。
でも魔法など、それかもっと違う改造などでおかしくなった人体は、やっぱりだけど歪だ。そうなるとどこかに絶対に無理が出てる。それは外から見たらわかりにくい。でもこうやってちゃんと解析をすれば見えてくるものだ。
私はドローンで危ない攻撃を肩代わりしつつ、何か所かにしるしをドローンを犠牲につけた。でも戦いに夢中なザンサンシャカレの兵士達は気づいてくれてない。どうにかして、こっちの意図を伝えないとだめらしい。