『それだけ?』
「それだけです。私たちの価値なんて……その時の為だけ……私たちは楽園へは行けないそうですよ」
『ペニーニャイアンもそれを……』
「彼女たちは知らないでしょう。そこまで話してはいないでしょう。そもそも巫女たちには自分たちの役割さえ……知ってるのは巫女の上位の人たちだけでしょうね」
『聖女と巫女……その違いはなんなのですか?』
巫女は確かそこそこな数がいたみたいな? そんな話をペニーニャイアンから聞いた。私じゃなく勇者がね。まあその場にはドローンもいたから大体ちゃんと聞いてるけどね。ペニーニャイアンは確か下の方から数えた方早いくらいだったはず。
でもそれでもいい暮らししてたからね。教会も巫女には最後が最後だし、それまではいい思いをさせておけ――ってことなのかもしれない。
今のところ、私には聖女と巫女の違いが見えない。だから今の質問をいってみた。
「巫女は後から、その身に力を宿した存在です。それに対して聖女は生まれた時から聖痕を宿し、聖なる力を使えます」
『それはもしかして巫女とは教会に作り出されてる……とかいうことですか?』
「そうですね。巫女は教会が生ませてる子供たちをいじくりまわして作っています」
それは……どこまで教会は人道に反したことを……まさか巫女が改造人間だったとは……でもそんなのペニーニャイアンは言わなかったが……知らなかった?
『巫女自体はその事実を知ってるのですか?』
「知っていますよ。なにせ今でも巫女は定期的に聖片と呼ばれるものをその身に取り込んでいますから。
巫女はその聖片をどれだけ取り込めるかが、価値になります」
『普通の人は取り込めないのですか?』
「そもそもが聖片とは都市核の残骸です」
なんとまあ……なんだかいろいろなことをミレナパウスさんは知っててとても頼りになる。世界を渡ってもやっていけるのか? とかまだまだ問題はあるけど……彼女を私たちの一員に入れるのも一考の余地はあるのかも?
そんなことを考えつつ、私はミレナパウスさんと会話する。
「それも砂獣によって汚された都市核です。この世界は昔はもっと栄えてたらしいですよ」
『それは記録を見ましたよ』
そんな記録を私は観覧してる。だからそれはわかってる。今はそれこそもう10もないが、昔はそれこそいっぱい町はあったらしい。
その町すべてに都市核というのがあったのかまではわかんないが、確実に今残ってる数よりは多かったはずだ。
「聖片はそれら昔の都市核たちです。それを教会は回収して、そしてその浄化を試みたのです」
『じゃあ、巫女というのは……その身で穢れた都市核を浄化してるってことですか?』
「そうです」
そうミレナパウスさんは断言した。