面倒な……そんな事を私は思う。それに同時に……これはまずいな……ってのも考えてた。勇者は頑張ってる。でもあれは……そうあの扉から出てるあれ……その上半身が完全に出てきたことで、そのエネルギーの詳細がわかった。
とんでもないものを呼び出してくれたものだ。どうやらアレは時空を管理してる神……の名残というか、残滓といっていい存在だ。きっと変な空間の干渉を知たんだろう。時空間が辺に歪められて、引き寄せられて来たのがアレだった……本当ならこんな風に戦う様なことになる存在じゃない。
そもそもが出会うことすら……だ。ナニカ変な影響も受けてしまってるのかもしれない。明らかにあの存在は都市核を狙ってるし……もしかしたら時空間での悪影響をこの世界だと判断してるのもしれない。
そしてここでの世界の消失はまた別の世界の礎になるはず。もしかしたらそれが……楽園となる……とか? 楽園はもともとはなくて、新たな世界が楽園ということなのかもしれない。それならあの存在をここの神はつばをつけてたのかも? だからこそ、変な影響を受けてるのかも……それに……だ。
あの模様だ。上半身の殆どにある螺旋の様な模様……あれはただの模様じゃない。それに……私のデータに残ってる姿にはあんな模様はない。あれは縛りだ。鎖といってもいい。あれはこの世界に縛られてる。
「ふん!」
私は近くにやってきた。髪の毛を銃を振るうことで追い返す。けどこんな事をやってると撃つという銃本来の役目を果たせない。これでは持ってる意味がない。だって打ち付けるのなら、もっと適切な武器がある。少なくともこれじゃない。むしろ振り回しづらいし。勇者はもっと大きな両手を請け負ってる。奴の腕は特殊で、下手に避けるって事ができない。
前の切り落とした腕はそこまでじゃなかった。けど今は避けることを許さない様になってる。上半身が全部出てるから、きっとその身の力が十分に発揮出てきてるんだろう。
あの扉は空間や時間もきっと隔ててる。だからこそ、一部分ではその力を発揮する事ができなかったんだと私は分析する。でも上半身があれば、問題はないってことだ。
「フォートレス・展開」
私はそうつぶやく。すると空間から、2つの盾がやってきた。盾といっても金属製のホームベースみたいな形をしてる一般的な盾ではない。完全自立型の便利な盾である。鋭利な三角形の形に、中心には宝石の様な石がハマってる。そして中心部分が白く、周囲は青い。そして飛んでる間中、その青い部分からカーテンの様にゆらめく光を展開しつつ、くるくると自転してる。
私はどっしりと構えた。そして髪の毛の猛攻をフォートレスにまかせて、無数の髪の毛にロックオンをする。そして引き金を引いた。