「ジャルバジャルへ……ですか? 何の為に?」
「都市には、加護を受けるための核があるのです。それをどうにかして回収したい」
「それだけ貴重な物だと?」
「はい」
そう言うのはバジュール・ラパンさんだ。最近はよくこの王宮で食事を取ってる。まあ一日の始まりだけだけど。やっぱり王宮だけあって出てくる料理は豪華だ。どうやらここは夜という概念がないからか、一番初めの食事が一番豪華だ。晩餐とかいうのがないんだ。だから朝からがっつりしり料理が出てくる。それを皆さんもりもりと食ってくる。
俺の元いた世界のイメージだと、貴族とかはそんなに食事をして無いイメージがあったが、ここの人達は領主であるバジュール・ラパンさんもめっちゃ食う。だからそれに負けじと食ってると、腹がヤバい位なる。だが、この体になってから苦しいとかはない。寧ろいくらでも入る気さえする。事実、魔王はずっと食い続けてられるそうだ。
どうやらこの体は元の体よりも効率よく、エネルギー補給が出来るらしい。ジゼロワン殿にはどうしてるかというと、一応王宮の人が料理を運んでる。でも監視を置いてもどうやら食べてるのかはなぞらしい。いつの間にか料理自体が消えてるとか。
ジゼロワン殿も文句は言わないし、きっと満足してるんだろう。最近は広場とかでなんか子供と遊んでる事が多い。バジュール・ラパンさんもジゼロワン殿の事は持て余してるから、暇してるのかもしれない。でも俺達からあの方に進言するのもな……というわけで放置気味だ。
ちなみに発見があった。それはこの世界の人々が眠ってる時だ。はっきり言って、その時は暇になる。なにせ人々が眠ってる時には砂獣も活動しないらしい。心優しい配慮してくれる砂獣に感謝だな。世界の法則の様な物だから仕方ないが、俺達には関係ない。だからその八時間の間に世界を調べようとアズバインバカラの外に出ようとしたが……どうやら無理だった。
見えない壁があるみたいになってた。なら……と言うことで、一度街の外でその瞬間を待ってたが……あれは地獄だった。具体的にいうと、存在を保つので精一杯というか……ジゼロワン殿が言うには世界の調整が入ってるらしい。街以外は、世界が世界として存在してない。街の中からは普通に見えるが、外は闇と力の奔流が流れてた。
ここなら神に何かしら届くかも……とか思ったが、それは止められた。ジゼロワン殿的にはまだその時ではないんだろう。なので今の所、皆が寝てる時は街で静かに過ごす事にしてる。そんな日々を一週間くらいしてこれだ。
こっちが協力的だと思ってもらえたと言うことだろうか?
「それは今までは放置して来たんじゃないか? 別になくても困る物でもないだろう? ここにも同じ物があるはずだ」
「ええ、その通りです。ですが、今まで諦めて来たのは回収する危険の方が大きかったからです。でも今なら……」
魔王の言葉にバジュール・ラパンさんはそう言って俺達を見る。たしかに俺達がいれば、今まで諦めて来たそれを回収できる可能性は高い。
そしてバジュール・ラパンさんは更にこちらの興味を引くことをいった。
「もしかしたら貴方たちが探してるサンクチュアリという物かもしれません」